この映画は人間ドラマの最高傑作である。
主人公は、脳性小児麻痺で不自由になった体を克服して
画家となった実在の人物『クリスティ・ブラウン』である。
彼の努力に感動するのはもちろんだが、このドラマを
素晴らしいものにしているのは、彼を取り巻く家族、地域、
社会の愛である。
寝起きさえ不自由な彼が、兄や近所の友人たちとサッカーを
するシーンがある。誰もが驚くシーンである。彼らは彼のことを
障害者として扱わない。ひとりの人間として認め、全力で攻撃し、
全力で守ろうとするのだ。
アカデミー賞助演女優賞を受賞した母親役のブレンダ・フリッカーの
肝っ玉母さんぶりも見事だが、不遇な息子を正面から見ることが
できず、酒におぼれていく父親の心情が胸を打つ。
初めての恋に破れ、失意の底にある彼を母親は叱咤し、彼のために
アトリエを作ろうとする。
仕事から帰った父親、そして兄弟が競うように手伝い始める。
それを満足そうに見守る母親。
このシーンの感動は是非小中学生に観て、感じてもらいたい
ところである。
もちろんアカデミー賞主演男優賞を受賞したダニエル・デイ・ルイスの
演技には驚嘆するばかりだが、子供時代のエピソードが十分に
描き込まれているために、素晴らしい感動のラストにつながって
いるのだと思う。
人間は素晴らしい。誰にでも大きな可能性があるのだ。
そのために私たちは社会の中で多くのことを学ぶ必要がある。
『人間』を理解する力を養わなければならない。
この映画を観ることはその第一歩である。