東京バンドワゴン戦後の占領下、勘一とサチの出会いを描く
ミステリータッチの番外編。
戦後間もなく、子爵令嬢咲智子は重大な機密文書を父から託され、
それを手に入れようとする占領軍や旧日本軍の諜報機関に狙われる。
逃れる途中、上野駅で米軍に拉致されそうになった咲智子を助けた
勘一は、行き場を失った咲智子を勘一の嫁・サチという触れ込みで
東京バンドワゴンにかくまうことにした。
勘一は、父・草平、幼馴染のジョー、元諜報員の十郎、ジャズシンガーの
マリアなど、魅力的な脇役とともに、占領軍に連行された咲智子の両親の
行方を探り、奪還を画策する。
東京バンドワゴン草創期の物語。
いつもは和やかホームドラマの「東京バンドワゴン」のシリーズだが、
今回は「番外編」というように、殺伐とした戦後の日本の状況を描き、
「機密文書」をめぐるハードボイルド仕立てになっている。
これまでのシリーズにつながる伏線が本書で明かされることもあり、
従来の読者には見逃せない一冊だろう。
また、登場人物は旧知のものとして描かれていないので、前作を読んで
いない新しい読者にもやさしい。