名盤『ラブレス』の制作過程を軸に、バンドの結成から昨年の再結成前までの歴史を綴った本。
遅々として進まない『ラブレス』のレコーディング風景と時間経過、
サウンドの秘密(もちろんレコーディング専門誌ほどの詳細があるわけではないが驚く)、
アラン・マッギーとバンドとの間の緊張感、
ケヴィンとビリンダの関係性などは、
外枠は知っていたが、その詳細は長い間ヴェールに包まれていた部分である。
200ページ足らずの本なので、分厚いアーティスト研究本と比べればライトなものではあるけれど、バンドメンバーの言葉を交えたそれは、レコードを聴くだけのファンとしては興味深いことばかりであった。
狂信的とも言える著者の思い入れたっぷりの文章は、このバンドのファンには同胞意識が感じられ微笑ましい。
しかし、その分バランスを欠いた所もあり、『ラブレス』に影響を受けたラファエル・トラルの『ウェイヴ・ワールド』への言及部分などはあまり必要ないところでもあると思う。
日本版の巻末には、『ラブレス』発表直後のケヴィンのインタビューが載っている。
当時はアルバム発表のよくあるインタビューのひとつだったと思うが、
アーティストとして「表現」をすること、音楽的に影響を受けたもの、バンド名への思い(笑)が語られ、『ラブレス』が歴史を作った現在の視点から鑑みると、更に興味深い発言として映る。そしてこの本の本編に足らなかったと感じる部分を、このインタビューがかなり補完してくれている。
200ページ足らずでこの装丁としては、この値段はちょっと高い気がしますが、
やはりファンなら一度は目を通しておいていい本だとは思う。
これを読んで、改めて、彼らの活動再開をまだまだ待とうという気になった。