文庫本をバカにしてはいけない、なんぞという、いまさら
当たり前のことを、強烈に実感した。正直、最近は、自己啓発
本や、ビジネス書を読んで、感心し、勉強になると感じることが
ほとんどだけれども、「感激する」ということは、あまりない気がする。
そんな中で、この小さく地味な本は、「感激して泣きそうになる」
ハードな内容です。矛盾しているようだけれども、そうなのだから
仕方がない。
すごい本だ。地味なタイトルとは裏腹に、鳥肌がたつような
ことがたくさん書いてある。
テーゼはこれ。「あなたは、毎日働いていて楽しいですか?生き生きと
自分の人生を生きていますか?」(かなり平たく言えば、ですが)
曰く。「ビジネス(仕事)をすることが快楽となるためには、人から
命令されたり与えられたりすることを待つという受身の姿勢では
ダメで、他ならぬ自分がイニシアティブをとるという能動の姿勢で
行動することが大前提になる」。
文章は平易だが、内容は相当に抽象化されているし、哲学、経済学、論理学、
社会学、文学、物理学など、コンパクトな外装からは想像できない
ほど、学術が次々と登場し、読みながら脳が活性化していく。
楽観的すぎやしないか?現実から乖離してやしまいか?
そう取れなくもないが、考え直した。こういう「ビジョン」「理想像」
が欠けているから、この国の未来に悲壮感が漂う。損得抜きで、信念を
貫くっていうのは、一番大事なのかもしれない。
しかし、じっくり読むと、気がつくはず。「この世に、所与のものなど
何もない」(資本主義社会も、仕事も、遊びも、生活も、死の意味さえも)
ということに。自分を取り巻く経済社会、環境が激変する今日こそ、
自分の頭で考える、という、文字だけでない、実行が重要だと気づかされる
一冊です。
ところで、本書でエリック・ホッファーという「在野の哲学者」の
生き様のいったんを知った。その「自伝」は絶対読もうと思う。