前作のライブ盤"イン・シンフォニー"でシセルが元々得意としてきたミサ曲や伝承歌のほかにクラシックの声楽曲が入っていたので気になりながら未聴のままでいたのですが、はっきりとクロスオーバー的選曲の本アルバムが出たので購入してみました。
ポップスやミサ曲、伝承歌での実力は過去のアルバムで承知していたので、本アルバムで選曲されたオペラのアリアが一番の注目でした。サラ・ブライトマンを筆頭とするクロスオーバーアーティストに好んで取り上げられた曲ばかりだったからです。
シセルはオペラの素養はなかったと記憶していたので、アリアをどう歌うか気になっていたのですが、無理してベルカントオペラの歌唱を取り入れたりせずポップスやミサ曲を歌う時と同様の歌唱をしていました。オペラのアリアといえば、ファルセットで歌う脳天を突き抜けそうな高音をいかに美しく華やかに歌い上げるかが聴きどころだと思います。けれど、シセルの歌唱、およびバックのアレンジはポップス的なアプローチを用いることで、オペラアリアにライトクラシックの声楽曲か、クラシカルなポップス曲のような新しいイメージを纏わせることに成功しているように感じました。アルバムの半分を占めるポップス曲とも違和感がなくまとめたところはベテランの実力です。
ポップス曲では個人的に"You Raise Me Up"がお気に入りです。この曲を有名にしたジョッシュ・グローバンも、オリジナルのシークレット・ガーデンもクアイアをバックに壮大なイメージに仕上げていますが、シセル盤はボーカルは彼女のみのシンプルな構成でこの曲自身がもつ美しさを際立たせているようです。
癒し系とかヒーリングミュージックという呼び方は余り好きではありませんが、少なくとも、聴いていて肩の力が抜けていくような、気持ちが落ち着くアルバムであることは確かです。