本書はマイルス作品の2巨峰イン・ア・サイレント・ウェイとビッチェズ・ブリューの録音セッションを中心に、マイルス・イン・ザ・スカイから始めてオン・ザ・コーナーが視界に入ってくる時点までの、マイルスの創造した音楽の変遷をまとめた好著。
マイルスの周囲に多くの人々が集まり、離れてゆく。彼らが何をマイルスに与え、マイルスは彼らに何を与えたか、その分析は簡潔・的確だ。巻末の諸作品解説も重宝。本文の記載を繰り返している個所もあるが。
本書はまた、ジミ・ヘンとジャズの大御所との接点、共演が未遂に終わった顛末、あり得たかもしれないジャズとロックの未来も語る。クィンシー・ジョーンズ、ジミ、そしてブルース・リーが同じ高校の出身だったとは!
また、テオ・マセロがS&Gのアルバム「卒業」のプロデューサーだということに初めて気づいた。同作がヒットしてテオがスタジオを自由に使えるようになったことが、マイルスのスタジオでのジャズ革新につながった。風が吹けば桶屋が儲かる式の話だが、そういったディテールも豊富。
多くの人、事績を扱うので、年表と索引が欲しい。