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46 人中、40人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
これを機にこの名作を読んでください,
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レビュー対象商品: マイナス・ゼロ 広瀬正・小説全集・1 (広瀬正・小説全集) (集英社文庫) (文庫)
日本SF長編の金字塔であり、SF黎明期に登場し後の作家たちに多大な影響をあたえた大傑作SFが本書「マイナス・ゼロ」です。著者の広瀬 正は、不幸な作家でした。長い不遇の時代を経て、ようやく世間に認められた矢先、取材先で心臓発作を起こして亡くなってしまいます。直木賞に三度もノミネートされたにも関わらず、SF不遇の時代だったために受賞を逃し、それでも、ようやく人気が出てきて、さあこれからという矢先の突然の死でした。 さて、前置きはこれくらいにして本書の主な舞台は、戦時中の東京です。昭和初年の東京が眼前に広がります。『昭和38年、主人公である浜田俊夫は、18年前の大空襲時に行方不明になっていた隣家の娘伊沢啓子と再会する。啓子は、失踪した当時のままの年齢だった。彼女は戦火を逃れて、タイムマシンにのって現在にやってきたという。俊夫はタイムマシンにのって過去へ向かうが、予定していた年代にはつかず、違う時代にタイムトラベルしてしまう。』 導入部だけ紹介するにとどめます。この作品、タイムマシンが引き起こす混乱に各登場人物が翻弄され、要約では、説明しきれない内容になってるんです。様々な問題が起こり、幾人かがタイムトラベルすることによってパラドックスがうまれ、あらゆる要素が伏線となりラストですべてが整然と解決されます。緻密に計算されていて、すべてが収まるべきところに収まるところなど並のミステリ以上に大きなカタルシスを得られます。かてて加えて、この作者の描く昭和初期のノスタルジックな描写の素晴らしさはどうでしょう。これは、本書のもうひとつの魅力でしょうね。とにかく本書が復刊されたのはとても喜ばしいことです。これを機に是非もっと多くの方が本書を読まれることを願ってやみません。
23 人中、19人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
すでに持っている人ももう1冊,
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レビュー対象商品: マイナス・ゼロ 広瀬正・小説全集・1 (広瀬正・小説全集) (集英社文庫) (文庫)
作者と作品内容については他の方が詳しく書いてくださっているので省略。この文庫の最初の版が出たのは1982年2月。奥付によれば1998年に第12刷が出たのが最後のようですので、10年ぶりの復活です。 今回の改訂新版は、帯のうたい文句に「活字が大きく読みやすくなりました」とあります。 前の版が436ページ、この改訂新版が518ページ。 あとがきも星新一さんの解説もそのままの内容ですので、このページ数の差がそのまま活字の大きさの差だとすると、約19%拡大ということになります。 前の版を持っている人も、読みやすくなったこの改訂新版でもう一度広瀬正の世界を堪能してください。 なお、来月には『ツィス』が予定されていますので、このまま全6巻のすべてが改訂新版として刊行されることを期待したいです。
3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
タイムトラベルものとしての楽しさもさることながら、昭和の人情噺的要素が好ましい,
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レビュー対象商品: マイナス・ゼロ 広瀬正・小説全集・1 (広瀬正・小説全集) (集英社文庫) (文庫)
昭和20年、東京大空襲のさなかに浜田俊夫少年は息絶えようとする隣人の伊沢先生から不思議な頼みごとをされる。昭和38年のこの日にこの同じ場所へ来るようにと。18年後、成人した俊夫は約束を果たすべく同じ場所へやってくるが、そこに現れたのは伊沢先生が開発したタイムマシン。そして中から姿を現したのは…。 昭和45年に発表された時間旅行SFということで、日本のSF文壇がまだ黎明期にあった時代の作品といえるでしょう。ですから物語は500頁を超えるとはいえ洗練されたタイムトラベルSF巨編というよりは、ユーモアあふれるファンタジーといった趣の作品です。 俊夫は思わぬかたちで昭和7年という時代に放り出されてしまいますが、作者・広瀬正は徹底的に過去の資料にあたったとみえ、当時の社会状況や街並みなどを事細かに再現してみせます。時代の空気までふくめて綿密に描く腕はなかなかのものです。 白木屋火災の場面では小学1年生だった自分自身を物語の中にちゃっかり登場させるなどお茶目な筆遣いがほほえましく感じます。 NHKラジオで昭和7年にすでに「カレント・トピックス」という英語時事ニュース番組が放送されていたという記述があります。私が昭和50年当時、英語の勉強のため毎週末聴いていた番組が戦前から続いていたものだと初めて知り、驚きました。 タイムトラベルSFはタイムパラドックスをいかに読者が納得できる形で収束させられるかがカギですが、この物語がそれに100%成功しているようにはみえませんでした。 しかし、それでも今や世知辛くなってしまった平成の世から眺めると、昭和初期の隣人たちがゆったりした助け合いの精神にあふれた暮らしを営む姿が全編にあふれていて、それは大いに私の好むところです。その一点がこのSFを楽しい佳品にしている気がします。
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