主人公、アランが回想する恋愛体験。大英帝国の植民地であった20世紀初頭のインドが舞台。そこでは、ヨーロッパは全ての面でインドを圧倒し、植民地文化が営々と続いていた。主人公、アランは健康な若者、知的で疲れを知らない。ヨーロッパ文化に根ざした教養人たる主人公は、一少女、マイトレイが示す魂を覗き込むような愛の形態、その異質さ、想像を超える家族愛に翻弄される・・・
性愛を描きながら、そこには嫌味な通俗さが全く見られず、むしろ、これ程に純化されて読者に伝わって来るのは奇跡的でさえある。二つの異質な文明の対比がユニーク。この小説の舞台はインド以外ではあり得ないという想いが読後感として残る。
一言で言えば、第一章で既にこの小説の、この作者の虜にさせる何かがある。