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11 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
巡り巡る時のなか,
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レビュー対象商品: ポーの話 (単行本)
『ポーの話』という素朴なタイトルと、その装丁の美しさにまず目を奪われました。 黒の地に描かれた、カラフルなのにしっとりと柔らかな印象のイラスト。うなぎ、飛んでいるのは鳩?、花、裏表紙にはうみうし。作品の世界を象徴するかのような月。 <きれいはきたない。きたないはきれい>……いしいしんじさんの作品を読むと、いつもこの言葉が頭の隅に浮かんできます。 この話も混沌としていて、自分の頭がいつもよりもっと悪くなったんじゃないか?という気がしてきます。 ポーの母たちである、泥の川に生きる「うなぎ女」のありさまは一種異様です。でも、ポーが生まれる場面やポーに対するうなぎ女たちの愛情は、原始的な母性を感じさせます。愛され守られる存在として生まれたポーが印象的。 ポーという存在は何かに喩えることができません。純真無垢といえばニュアンスがちょっと違うと私は思いますし、空っぽというのでもない。あえていうならば“何も書かれていない真っ白な紙”だと感じました。 “メリーゴーランド”、“ひまし油”、“天気売り”などの人々との出会いによって、ポーは人間が持つべき「感情」や「思い」を少しずつ理解していきます。 このポーの変化も粘着質な感じで、遭遇する出来事を逐一見て触って、相手の言葉を反芻して心にしまい込んでというような具合です。 悲惨な出来事、汚く賤しい言葉や仕打ち。ポーは川の流れとともに変わっていきます。川から海へ。水、うねり、流れ。その中で出会う者たち。 時代や場所も不明な物語の中、ポーが感じることをなぞりながら、第三部の老人達の心根にぐっときました。 説教臭いと感じた天気売りの言葉も、読みおえてみればポーと物語に対して必要なものだったと納得です。 うなぎ女たちの「スフスフ、スフスフ」という響きがいつまでも心に残っています。
12 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
印象は残る、言葉の響きも、しかし、感動の質は…,
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レビュー対象商品: ポーの話 (単行本)
初めて読んだいしいしんじの作品を、心の中で数ヶ月暖めてみた。何か発酵・熟成する想いが自分にあるだろうかと考えあぐねて。読むことは一気にできた。この一気に読めるということが曲者だ。不思議な印象、何となく頭に響くフレーズ、言葉の響きにのせられて、それこそ河の流れに運ばれるように物語世界に浸り、その語り口に自分の感覚が半ば麻痺したようになる。癒しと同時に呪いにも似た諦め、汚泥にまみれた神聖さと清潔さ、相矛盾するものが交錯して、何か高みに昇華する感覚。しかし、明確に意識される感動の質を探すことができない。 マクベスの魔女にだまされたかのような、実は実体があったのかなかったのか、今まで読んだ世界は何だったのか? という思いにさいなまれる作品である。こんな作品、こんな文体があったのかという驚きに比例した感動が得られないという、じれったい感覚を持つのは私だけだろうか?
9 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
無垢で無知な少年の旅,
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レビュー対象商品: ポーの話 (新潮文庫) (文庫)
惜しみない愛情を注がれながらもごく狭い世界で単調に暮らしてきたポーは 無垢で無知な少年に育っていた ある日 ポーは 天災に遭い やむなく故郷を巣立つ事になる 外界の様々な人々との出会い・別れを通じ 欠けていた彼の心が補われてゆく まるで まっさらな画用紙に 色絵具が塗り付けられていく様だった 何の為に どう生きる(死ぬ)のか 己は何によって生かされていくのか その答えが ようやく見えた頃 ポ−の長い旅は終わりを迎えるのだが それは 新しい物語の始まりでもある 生き 死んでゆくものたちの想いは ウロボロス(作中ではウナギ)に象徴され 終わりから始まりへ 一つの輪になり 次代へと循環していく 情愛を注ぐ対象を意識して生きる事は 自己と世界との繋がりを濃厚にする 大切な事を再確認する為の物語
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