萩尾望都さんはその後の少女マンガの進路を決定付けた、といわれるほどの
漫画家で、このポーの一族のキャラクターの魅力、ストーリーの奥深さは何年
経っても色褪せません。
私は原作の大ファンで何度も読み返し自分の中でのエドガー像ができてしまっ
ているためですが、素直に聴き入れることができませんでした。
エドガーから胸が張り裂けそうなほどの孤独感が伝わってこなかった・・・。
これが星3つの一番の理由です。エドガーは愛しい妹メリーベルのためだけに
バンパネラになり、何年も生き続け、バンパネラでありながら感情は人間のま
まなのです。
原作の「ポーの一族」の話の最後、メリーベルが死んだあとのエドガーの想い
です。
“・・・なぜ生きているのかって・・・・・・それがわかれば!
創るものもなく生みだすものもなく
うつるつぎの世代にたくす遺産もなく
長いときをなぜこうして生きているのか
・・・すくなくともぼくは
ああ すくなくともぼくは・・・”
少し先の話「小鳥の巣」では、
“遠い者どもよ・・・
ばくたちですら
いってしまう者に対し
残される者の悲しみを知っている
そして思いはせ・・・思いはせ・・・
帰らぬと知りながら
いつまでも・・・”
エドガーが大切な人を失った悲しみ、永遠に続くこの悲しみが作品全体を貫
いていると思うのです。
エドガーは何百年も生きていますし、感情を子供のようにあらわにすることも
ないためでしょう、朴路美さんは非常に抑えた演技をしていらっしゃいます。
今回はそれが理知的な青年にしか感じられませんでした。表には出ない秘め
た感情まで演じていただきたかったです。
ただ某ラジオで、エドガーを演じる朴路美さんは役作りにすごく苦しんでいる
し、何度も打ち合わせを行っているとおっしゃっています。情熱をもって演じら
れているのだと感じました。
なので、原作を既に読んでいるという方は一度ラジオ(週1で放送されていま
す)を聴いて購入を検討されたほうがよろしいかと思います。原作を読んだ
ことがないという方には購入を勧めます。ラジオの演出は原作に沿っていま
すし、萩尾さんの文章は美しい絵本か小説のようですので、会話の風景が鮮
やかに頭の中にうかびます。
長々と辛口に書きましたが、あくまで個人的な意見です。
どなたも自分だけのエドガー像があると思いますので、参考程度に・・・。