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大石静のエッセイ集はこれまですべて目を通してきましたが、その一編一編は読み終わるごとに背筋をしゃんと伸ばして生きよう、と気持ちが引き締まる思いを常にさせられます。
彼女のエッセイに通底しているのは「育ち、育てる」ということの大切さ。自分自身を常に律しながら育て、また自分を囲む社会の構成員である人々の心を豊かに育てることをいつも意識して生きるということです。著者自身が若くして癌との闘病生活を強いられた経験があり、そのために手抜きをせずに生きることを自分に課してきたのでしょう。
自身に厳しいと同時に著者は周囲に対しても厳しくあります。パンツを見せて地べたに座る女子高生の恥じらいのなさを嘆き、Wカップ騒動に浮かれて道頓堀川に飛び込む若者たちに「スタンドでニッポン、ニッポンと叫ぶことだけ」が国家意識ではないと喝を入れ、低俗なテレビ番組を作った側も見て呆けている側にも憤りの言葉を綴っています。
かといって小姑の説教みたいな不快感はありません。むしろ爽快感があります。文章が抜群にうまく、自分の越し方を「あれこれあったけど、それでもそれが私自身の人生なんだ」と前向きに全部受け止めるという姿勢に学ぶべき点があると思うのです。
次回のエッセイ集がとても楽しみな作家のひとりです。
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