本書を読んで先ず感じた事はポルポトはけして異常な人間ではなかったのではないかと言う事です。キリングフィールドに描かれている様な悲惨な状況があったのは事実だが、ブレーキの効かない状況で坂道を転げ落ちる様に、猛獣に追われ逃げ続ける様に過激さを増してしまった結果が150万人の虐殺に繋がったのではないかと感じました。
この本は他の解説を書かれている方々も紹介されているように、日本人の山田寛さんと言う読売新聞社の記者が現地でのインタビューやクメールルージュの時代にて他国から見た状況等を踏まえ時代をまとめてくれたものです。今もイラクで起きてしまっている様にアメリカの介入がどれ程悪影響を及ぼしているかを強く感じました。まさに、クメールルージュの裁判時に「裁判が開かれたらまずキッシンジャー元大統領補佐官を呼んで、クメールルージュを権力の座につける結果を招く過程で、ニクソン大統領と彼が果たした役割について証言させるべきだ」とフランソワ・ボンショー神父が言っていたとの言葉に共感を強く感じました。しかし母数が小さいので150万人の虐殺が大きく見えますが、実質で5,000万の虐殺が行われたと言われる中国の状況はもっと悲惨だったのではないかと・・まだ何処まで内部的には解決したか分からない状況で、その国で来年オリンピックが開かれる事に対し複雑な心境になるのは私だけだろうか。
本書はカンボジア、ポルポト政権の成り立ちから終わりまでを理解するには良い本だと思います。まだまだ分析が必要な部分が多く、それが出来なければ再発を防ぐ事は出来ないのではないでしょうか。