著者の川本さんは、雑誌編集者、官能小説家、写真家と色々な肩書きを持っておられます。私は、やまだひろなが名義の著作を数冊読んでいました。川本さんは、前書きで、ヴェトナム戦争、寺山修司、ツナピコが日本のポルノ革命を産んだと述べています。ヴェトナム戦争は長く続き、厭戦気分が蔓延し、それにヒッピー・ムーヴメントが重なり、ポルノ解禁に繋がった。そして、寺山修司、著者はアジテーターと言っていますが?、確かにアングラブームがポルノ解禁に道筋をつけたと言えない事はありません(私も警察の手入れがあったようなアングラ芝居を観たことがあります)。また、ツナピコですが、この自動販売機が改良され、ポルノの自販機に流用されたらしいんです・・全然知りませんでした。そして、これ等が日本のポルノ革命を導いたわけです。
本書は、戦後のカストリ雑誌、実話雑誌の時代から始まります。また、この頃は、かなり後まで有った様に思いますが、ブルー・フィルム(完全に違法です)、私も現像技術の向上の為?にこれを使用して、随分練習しました。しかし、著者が一番力を入れているのは、自分の係った通販本、自販機本、ビニ本の項でしょう。私もうろ覚えですが、確かに殆どの本に奥付けはなかったように思います。著者の記憶と勘が頼りです。
アリス出版、桜桃書房、中原みすず等懐かしい名前が一杯出てきます。自販機本・・これは当たり外れが多かった!ビニ本・・ビニールの袋に入っていて立ち読み出来ない、そして、透けパン・・パンツを水で濡らしたり、化繊を使用したり、裏地を取ったり(知らなかった)、いたちごっこですね!そして、沢渡朔さんの「少女アリス」に啓発されたロリータ物。百万人のよる等は、解説本が出ていたように思いますが、こういった類の雑誌の歴史、解説をした本は、初めてだと思います。著者が述べているように、ブームになってからの人気作、有名モデルの物は、収集家もいて、その内、研究書が出てくる可能性があります。しかし、それ以前、黎明期のものについてはその可能性は低いでしょう。その意味でこの本は、その業界に在籍した人以外は、著すことの出来ない労作と言えると思います。
最後に出来るものならば、簡単な年譜と、索引をつけて欲しかったです。