会社の総合職の女性の推薦で本書を読んだ。妙齢の女性から このような題名の本を勧められること自体が 既にフェミニズムの世界であると思う事自体が問題含みである。読後感は3点である。
一点目。フェミニズムの本を読むのは ほぼ初めてであったので logicを追うことに苦労した。言葉の定義を厳密にしていこうという姿勢に加えて、その定義の背景を更に考えて行くという道筋は 素人の僕には時として難渋ではあった。
但し そういう「厳しい定義付け」を行うことが 歴史的には新しい思想であるフェミニズムには不可欠なのであろうと考える。
ジェンダーとセックスを議論するに当たって 無意識のうちに自分の中で出来てしまっている「前提」を一つ一つ疑っていかないと 自分で自分に掬われるという可能性が高い。僕自身が男性であるわけで その段階で既にジェンダーバイアスが掛かっている。しかもそれは ここまでの自分の人生の中で積み上げてきたバイアスだけにそう簡単にはそこから抜け出せない。
二点目。ポルノを禁止するという事で フェミニズムが 反フェミニズムと手を握ってしまう危険性があるという本書の指摘は非常に新鮮だった。
ポルノでの女性像を否定する中で 「女性を伝統的な女性像に再度封じてしまう」という「後退」に陥る可能性があるという指摘は 素人の僕にしても鋭いと感じた。この事一つをとっても フェミニズムというものを考えることの困難さが浮かび上がる。
三点目。本書が書かれたのは 1986年だ。1986年にはインターネットもなければ ネットを通じたポルノの氾濫が無かったことを考えると 14年前に書かれた本書が 今なお鮮度を保っていることは十分驚くに値する。日本を見ている限り 14年前に比べると女性自体も全く変わったことも確かだ。「見られる」ものから 戦略的に「見せる」ものに変わるという大きな転換も有ったような気がする。その中で再度 ポルノと その検閲をどう考えるかは今なお 大きな課題として残っている。