下敷きはTVドラマ『ミステリーゾーン』の中の「消えた少女」だ。そこにスピルバーグが子供にとっての恐怖という視点を加えた作品が『ポルターガイスト』である。夜中のピエロ人形や雷鳴、なんとなく人の顔に見える木のコブ、クローゼットとベッドの下に口を開ける暗がり。そういったものが目をそらした瞬間に襲いかかってくるのではないかと脅える子供の不安を、作り手たちは張りつめたサスペンスに仕立てあげている。ここに描かれるのは死への直接的な恐怖心ではなく未知の世界に対するおそれだ。本作はあの世の暴威を強靱な光であらわし、畏怖のスペクタクルをたたきつけてくる。あえて霊界内の描写を避け神秘性を保った演出も見事だといいたい。観客は少年と少女の慄く表情を通じて遠い過去へと戻り、かつてのおぼろげなからも絶対的であった死者への敬いを思い出すことになる。そしてその耳に、振り返れば冒頭の国歌が戒めとして響くのだ。豊かな社会を築いてくれた先人たちの安らぎを尊ばずしてどうするのかと。
ホラーといっても美しい家族愛が主題なので健全な色彩。赤、黄、アイボリー、そしてなんといっても芝の緑が居心地のいい家庭の幸せを物語っている。色の純度はあまりないが暗い場面での見通しは良好。粒子感も自然。音声はゴールドスミスの迫力に、あと少し厚みがあったならと思う。サウンドトラックがドラマの感情を握っているだけにそこは残念だ。サラウンドは雷鳴のそれらしい立体感に不穏な気配があってよい。