日本のドラテク本というと、ドライバーが自分の経験則を口頭で
喋ってゴーストライターが起こしたものが多い。内容もあまりない。
また理論的に書こうと試みられたものでも、いきなり小難しい数式が
出てきてその説明が長く続いたりするものもある。
その割には結論は既知のもので、ポールフレールの
「ハイスピードドライビング」に遠く及ばなかったりする。
本書は氏が自分の言葉で語っている。また、この本は経験から学んだ
事も、しっかり理論的なバックグラウンドを書いて説明している。
数式も書かれているが、分りやすい説明が必ず付いていて、具体的に
イメージできるような例えも書かれていたりする。
経験則と理論が繋がってバランスがとれた内容となっている。
たぶん普遍的なドラテク本としてではなく、著者自信も好きな
ポルシェという車に限定した所が成功していると思う。
だから書いてある事柄も具体的だ。日本人の書いたドラテク本
としては一番まともなような気がする。
コーナリングでは速度を落として小回りするほうがよいというのが
論理的に書かれている。そして今までの教科書では、なぜ
クリッピングを奥にとって大回りする方法をベストとして
教えていたのかの説明は興味深く、納得させられる。
また、常に速度に対して2割減でタイヤが回転するようにブレーキ
を踏むと最大の制動力を得られるという話は、なるほど、と思った。
さらに制動距離の短いブレーキが優れているのではなく、
コントロール性に優れたものが、結局は安全で、
サーキットでのラップタイムが速いというのは、目の覚める
思いがする。
この本を読んで、改めて数式を大原則として知っていれば、
それにより理にかなった車の動きをイメージすることができることを
認識した。