東京芸術大学音楽学部音楽環境創造科の先生が書いた本。
授業で使われた資料をもとにしており、その意味では芸大の授業が読めたのは
うれしかったが、ご自身も書かれているように1冊の本にまとめるのに相当の苦
心のあとが伺われた。
具体的には元々はロックは反社会的な音楽であるといったルーツの話や、黒人音
楽、パンクやKLFの台頭あるいは最近はファミレスのように手軽でおいしくなっ
たと書かれているJ-POP,これらが押さえられているのだが、ポピュラー音楽と
資本主義は相反せずにむしろ時代と主に相乗作用を高まる、といった結論がボコ
っと途中で書かていたり、最後に博多の音楽事情について言及されていたりジャ
ンルにより筆の力にばらつきがあり、全体のバランスとしての違和感を感じた。
それだけポピュラー音楽について書こうとするのは難しいことなのかもしれない。
欲を言えば初めて買ったアルバムがPeter Framptonの「Comes Alive!」と書かれ
おり全米チャートを肌で知っている著者ならばこそ、最新の全米チャートについ
ても資本主義の観点から書いて欲しかった。
ただポピュラー音楽の分野の本は特定のジャンルやファンの視点で書かれたものば
かりでこの本のように落ち着いて書かれている作品は極めて少なく、その意味でも
著者の意欲は高く評価したい。
続編を強く望む。