出版社/著者からの内容紹介
帰納法から反証可能性へ、《知の可謬性》を明らかにする円熟の思想。
●ポパー(Karl R.Popper 1902-1994)
オーストラリア生まれの哲学者。ニュージーランドを経てイギリスに住み、自然科学・社会科学の両分野のみならず政治哲学においても多彩な活動を繰り広げた。科学の境界設定問題に対する方法論的反証主義の提唱、左右の全体主義への批判など、批判的合理主義を基盤にした思想は、現代世界に大きな影響を与えている。1949-1967年、ロンドン大学教授。主著に、『科学的発見の論理』『開かれた社会とその敵』『歴史主義の貧困』など。
批判的合理主義(Critical Rationalism)
ポパーは、科学的な知識をふくめて人間の知識は絶えざる反証に開かれた暫定的なドグマの体系にすぎないと考える。とすれば、道徳的信条などもふくめてわれわれの信念や知を批判にさらし、よりよいものに向けて改善していくことが大切となる。彼はそれを知のあらゆる領域において実践する。科学哲学においては帰納法への批判をつうじて反証主義が、また弁証法を批判して問題解決の図式が提唱され、さらに全体主義を批判して民主主義の新しい方向が透徹したことばで語られる。こうしたポパーの、人間理性の限界をわきまえた思想を、〈批判的合理主義〉とよんでいる。
著者紹介
1947年生まれ。東北大学大学院博士課程退学。専攻は、現代哲学、現在、鹿児島大学教授。合理性の問題を中心にして研究を進めている。著書に『討論的理性批判の冒険』(未來社)『読み書きの技法』(筑摩書房)。訳書にポパー『開かれた社会とその敵』『よりよき世界を求めて』(ともに共訳 未來社刊)など多数。