大晦日の夜、大型豪華客船ポセイドン号は、大津波にあい転覆し、上下さかさまになってしまう。
パニック映画の走りで日本でも大ヒットした。主人公は、ジーン・ハックマン演じるスコット牧師。彼がリーダーとなり、パニックに陥る人々を救出へ導いていく。
彼にことごとく異論を唱え、衝突するロゴ刑事役は、アーネスト・ボーグナイン。
この作品、セットが非常によくできていた。上下さかさまの豪華客船のパーティー会場の巨大なクリスマスツリー。逆さまのツリーにわらをもつかむ一心で、よじ登る人達は、まるで芥川龍之介の「蜘蛛の糸」さながら。客船では、通常一番上の客室は特等室や一等室、下に行くに従って部屋の等級や客層も違う。「上下逆なのだから、船底に向かって進むのが一番安全だ。」と必死に説く、スコット牧師。彼の意見に耳を貸さない人々、反対する人々。その人間ドラマが非常に面白い。
スコット牧師をリーダーとし、共に行動する人々も個性にあふれていた。憎まれ役のロゴ刑事は、さしずめサブリーダーの役割である。しかし、彼の妻への愛情は深く、脱出するまでの間に、彼の本来の優しさが浮かび上がってくる。シェリー・ウィンタースが、命懸けで泳ぎきるシーンも、涙をさそった。
ジーン・ハックマンは、スーパーマン的でない、非常にリアルなヒーローを演じた。ラスト近くの彼の姿は、忘れられなかった。
次々にスコット牧師達におそいかかる、炎、爆発、衝撃、水の脅威など、後のパニック映画のお手本になった作品だが、CGなしでこの作品を超えるものは、記憶にない。