ちょうど最近北海道新幹線の着工というニュースがあった気がしていた。開業するのは平成27年のことらしい。この小説を読むと海の下にトンネルを作って新幹線が通るという美しい話の裏で起きていたたくさんの事を思い知らされる。
粘り強い取材を身上とする作者らしい細部にわたる描写はますます磨きがかかったようで、最初のページの図面を見ながら読み進むと、これがフィクションだとは思えなくなってくる。
「強奪箱根駅伝」も緊迫していたが、一本の線でまっすぐと話が進んでいったように思うが、この小説では華やかなパリコレやブランドに絡む話も出てくるし、家庭内不和、土地買収、零細企業やそこに働く中国人労働者、ミステリーには欠かせない列車トリック、警察官の苦悩も垣間見られる。だが時効間際の犯人になぜか肩入れして、がんばれといっているのに気がついてしまった。
こんなに詰め込んで最後はどうなるのだろうと余計な心配をしながら読みすすむと、そうかそこで「ポセイドンの涙」となるわけで、これ以上は他の人に喋られてはたまらないだろうから書きませんが、かなり欲張りな盛りだくさんなストーリーでお腹がいっぱいになった。ご馳走さまでした。