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でも、批判も出た。そのなかで重要なのが、制度の男性中心主義的性格を捉えてない、という批判。これをうけて、彼は本書で、女性や家族の問題をしつこく考えてる。その上で、70年代以降のサービス経済化という趨勢のもとでの福祉のあり方を提示しようとする。
本書の主張のうち、日本にとって大事なのはさしあたり次のふたつ。
1家族の役割を強調し、政府介入を嫌がる国では、かえって家族の負担が増大する。実際にはこれは女性の負担だ。育児も介護も一手に引き受けなくちゃならない。そんな負担、いやだよね。だから出生率は下がる。事実、このタイプに属するイタリアやスペインは大変なことになってる。日本もそうだね。保守派のおじさんたちは女性の「意識変化」を嘆くけど、本当の問題はそういうおじさんたちの偏見なんだ。
2サービス経済化のもとでは、雇用創出はサービス産業に頼らざるをえない。でもこれは生産性が低い。みんなが腕利き弁護士になれるわけではないんだ。飲食店で働いたり介護で働いたりの方が圧倒的に多い。問題は、まず、これらの仕事が確保されるのかどうか。アメリカではたしかに沢山雇われてる。でも、すごい低賃金だ。子持ちのお母さんはこれでは託児も教育もしてやれない。不平等が再生産されちゃう。じゃあ規制で賃金を高くする? そうもいかない。需要は減るだろう。じゃあ…。政府がサービスをやるんだ。そうすれば、女性は家庭の呪縛から逃れられるし、雇用も確保される。
楽観的な筋書きだよね。でも、ほかの選択肢と比べてみると、非常に魅力的でしかも現実的な戦略だ、と僕は思う。どうだろう。
福祉は国や行政が市民に施してくれるものではない。福祉の提供者は「労働市場」と「家庭」と「国」であって、それらのバランスをどうとるのか。これからの福祉を考える上で大変参考になった。
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