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ポスト・マネタリズムの金融政策
 
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ポスト・マネタリズムの金融政策 [単行本]

翁 邦雄
5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

「失われた20年」以前に機能していたマネタリズム的金融政策に綻びが見え、それに代わる手法が模索されている。量的緩和やデフレ脱却の方策など新しい枠組みはどう運営されるかを金融政策のエキスパートが詳説する。

内容(「BOOK」データベースより)

新古典派総合はスタグフレーションを招き、マネタリズムはマネーと物価の関係性が薄れて色褪せ、「インフレ目標+バブル崩壊後の後始末戦略」の組合わせは金融危機を増幅させた。完成したかにみえた政策の枠組みが砂上の楼閣に終わるたび新たな体制の模索が始まる。先進国の中央銀行が今日抱える課題とその先に見えてくるものを提示する注目書。

登録情報

  • 単行本: 286ページ
  • 出版社: 日本経済新聞出版社 (2011/6/11)
  • ISBN-10: 4532354684
  • ISBN-13: 978-4532354688
  • 発売日: 2011/6/11
  • 商品の寸法: 19 x 13.2 x 2.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
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22 人中、18人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By Max-T トップ1000レビュアー
これは優れ本だ。1970年代のマネタリズムの台頭と80年代の事実によるその反証、90年代のテイラールールの普及とインフレターゲット論、資産バブルに対する金融政策の有効性の議論、バブル崩壊後の不況やデフレに対する量的緩和政策の有効性をめぐる議論、など過去四半世紀にわたる米国、日本、欧州の金融政策に関する主要な議論が実に分かり易く整理されている。

著者は日銀系エコノミストであるが、日銀の立場に拘泥することなく、実に真摯で公平な議論の整理が行なわれている。その例として「政府紙幣発行によるマネー増発でデフレ脱却」というオーソドックスな中央銀行の立場からは「異端の説」に対しても、頭から否定することなく論理的で公平な吟味を行なっている。増発された銀行券を使って「政府が需要をつくり出す・・・・結果として、インフレがもたらされることはほぼ確実と思える」と述べている(p258)。これは論理的な帰結だ。ただし、それがもたらす国債への信認の低下、財政規律の弛緩という副作用がより重大な問題であるため、現実の政策として採用は望ましくないとしている。しかしそれならば、財政規律を失わない縛りができるなら、やる価値があるということにもなろう。

ゼロ金利で量的緩和をやってもデフレ解消効果が出てこない状況下、それは定説通り、国債金利がゼロに近づけば、マネー(金利ゼロの政府・中銀債務)と国債の相違は極めて僅少となり、その結果、国債を買ってマネーを供給しても民間のポートフォリオ構成はほとんど変わらないので、効果もないということになる。ただし、マネーと性質の違うリスク性資産の購入を見返りにマネーを供給すれば、効果はあるということにもなる。

そこで中央銀行がどこまでリスクを負うことが許されるのかが問題となる。この点に対しては、中央銀行は政府の一部ではあるが、組織的に独立した運営が想定されているのだから、中央銀行の自己資本を棄損し、債務超過になったりしない範囲というのが著者の考えである。それならば、今日的な問題状況では、政府出資で中央銀行の自己資本を飛躍的に増加させ、より大胆な量的緩和、リスク性金融資産の購入によるマネー供給をするのも選択肢ではないか、と思った。

かつて日銀にデフレ回避のために「ケチャップを買ってでもマネーを供給すべきだ」と批判したバーナンキは、まさか本当に自分がケチャップの購入を検討する立場になるとは思っていなかっただろうなあ。
このレビューは参考になりましたか?
2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
小生のTwitterないしFacebookで知り合っている金融クラスタの方々の評価が、著しく高い書。
私自身は実生活でこのような金融政策に絡む仕事をしているわけではないので、そうなのかと感心しながら読むだけになってしまうが、そのような素人にとって本書の最終章はなかなか興味深い内容だと思う。読んでのお楽しみということにしておくが、最終章はデフレ脱却への方策となっており、マイナス金利であるとか政府紙幣などの「思考実験」とそれらについての著者の見解が述べられており面白い。
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5 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 西山達弘 トップ500レビュアー
一世を風靡したフリードマンの時代から、テイラールールの時代、そして米国金融危機以降の非伝統的政策までの金融政策を解説している。

また、本書では金融に関する具体的事例が盛り込まれており金融理論の解説も非常にわかりやすい。
序章で紹介される第二次世界大戦時の捕虜収容所における物々交換からタバコを通貨として取り扱うようになった過程。配給によってタバコの量が増えるとインフレまでも起こったという。
そして、ヤップ島の巨大石貨フェイについての解説も何ともユニークである。取引に使われるのは石貨の権利で、ある意味でこれは仮想のお金であり、現代の電子マネーにも通じるというから驚きである。実際、道路の補修がなかなか進まなかったときに、石貨に使用できないという意味で×印をつけたとたんに、住民が働き始めたという。
この二つの事例で、金融は経済が発展するにしたがって貨幣が流通するタバコ経済から、情報だけをやり取りする石貨経済の時代へ移りつつあると解説している。

そして、「インフレは貨幣的現象」というフリードマンがもてはやされた1970年代。ボルカーや日銀がマネタリズムを標榜し、これがテイラー・ルールという金利を操作目標にした金融政策に変貌していく過程をよく分析している。
ここで興味深いのは、バブル後の日銀の急激な金利引き上げについては、消費税の導入による物価上昇判断の誤りがあったためであるというテイラールールの見方の誤りの指摘である。

本書の最後、第8章、第9章において、日本が抱えるデフレ脱却への方策に多く割いている。
奇策ともいわれる政府紙幣の発行や日銀の国債引受についての問題点も、具体的事例を交えつつ的確に指摘している。
多くの論者による様々なデフレ対策の紹介と著者による処方せんの提示など特に日銀の金融政策への論評が興味深い。
そして、震災復興という課題に直面している今、デフレ克服は困難ではないという。

金融に関する最新の理論が豊富な具体的事例により学べるとともに、デフレへの処方せんもじっくり考えさせてくれる良書である。
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