郵便局のPR映画なのかという不安もあったのですが、そんな風ではありませんでした。
長嶋一茂演じる主人公は、人とのコミュニケーションを大事にし、バイクを使う配達員が多い中、バタンコ(配達用の赤い自転車)を愛用し、局内でもアナログ人間と揶揄されている男。長嶋一茂は上手いとは言えないものの、悪くはなかったです。娘との確執を解くために地味ながらも信念を貫く姿や、「家族揃って食事を摂ること」の大切さを説く父親像を結構魅力的に演じていました。
中盤まではかなりユルい展開ながら、基本的には郵便配達員(ポストマン)を中心とした人情ドラマが展開します。「手紙のよさ、アナログのよさ」を伝えたい内容ながらなぜ写真でもメールでも電話でもなく手紙なのか、という説得力がイマイチ不十分かな。
しかし、終盤の予想外の展開にはビックリしましたね。主人公が独居老人の手紙を千葉から富士宮(?)までバタンコを漕いで手渡しに行くという強引なクライマックスへ引きづりこむ。でも、この強引さが悪くない。途中で局や自宅に『連絡しろよ』とか、『消印』はどうした、とかのツッコミは不要。ほとんどファンタジーの世界だけれど、長嶋一茂の肉体とそのキャラあってのこと。それも、文字どおり体力勝負。
灯台と菜の花畑、太平洋や穏やかな田園風景の美しさもあったし、電車と自転車の平行走行撮影とか、ハンディカメラや空撮もなかなか良かった。
犬塚弘つながりで谷啓が登場したのも嬉しかったし、なんと自転車屋の店主でパンクしたバタンコを修理してくれる役で家業が木梨憲武が友情出演(?)するという内輪ネタも面白かった。
終わってみれば、家族愛あふれる物語で、亡き妻への想いを込めた愛情物語でもありました。