ベトナムからボートに乗ってオーストラリアに渡り、オーストラリアから
アメリカに渡った作家だそう。
著者の移民としての体験が反映されているように思う作品もあるが、
いる場所も性別も時代も年齢もバラバラな人たち(例えば第二次世界大戦中
のヒロシマの少女)が描かれている。
短編集を読み進めても、次にどんな作品がくるのか予想ができない。
でも、ちゃんと、全作を貫くものがある。
どの作品もクールな感じがあるのだけれど、生死とか離別を伴うような不安と、
そのための緊張感が最後まで感じられる。
最後までと書いたけれど、もっと正確には、読み終わっても、大丈夫なんだろう
かという気持ちが離れないので、最後まで 以上にといった方がいい。
そして、何らかの肉体感覚がある。
殴られることだったり、頬に手を当てることだったりと人と人とが相対することでの
肉体感覚もあれば、冷たさや熱さや痛さやあるいは上手く動かせない手や、
口の中に入った水だったりと一人で知覚する肉体感覚もあるのだが、いずれも
とてもしっかりと感じられる感覚。
どこかクールな感じがあり、派手さはない小説だが、しっかりと後に余韻を
残す作品が続く。不安な緊張感は心地いいとは言えないのだけど、次の作品が
気になって読み進めたくなる。
次作もぜひ読んでみたい。