実用ジェット爆撃機としては世界初の後退角を持った主翼は剛性不足による撓(たわ)みにより、エルロンの逆利き(エルロン・リバーサル)を引き起こした一方、現在では当たり前となったエンジン・パイロンを介したポッド式(但し本機の外翼側は1基、内翼側は2基1組の変則構成)の配置、胴体前後に主脚を持つ自転車式の降着装置と加速性の悪い当時のエンジンによる着陸復航(やり直し)に備えて制動傘(ドラッフ・シュート)も使用など、本機の飛行特性や構造特性の大半は「長距離性能を目指した長大な主翼」に規定されていたことがよくわかります。
また本機は力学&工学上の選択が「せめぎ合う」以下の設計選択上の特徴を備えています。
【空力学上の選択】:長大な航続力を実現する為の、薄くて35度の強い後退角の付いた、アスペクト比の大きい揚抗比に優れた細長い主翼。
【機体構成上の選択】
・高速での主翼のねじれによる「エルロンの逆効き」(利き)という構造的な問題の抑制と、フラッター防止の錘(おもり)効果を狙ったエンジンのパイロン&ポッド式吊り下げ式選択。
・主翼が薄い為、燃料の収納が困難で、乾翼(全ての燃料を胴体に収容し翼に燃料を搭載しない)の選択。
・胴体からの降着装置収納部の張り出し部を避け、長大な主翼を安全に着地させる為の自転車式の降着装置とエンジンポッド下の補助脚(輪)。
【材料工学上の選択】
・スキンミラーによるテーパーの付いた主翼付け根の外板。
・一体鍛造の高強度アルミ合金の主翼骨格(梁・主桁)
【航空電子装置上の選択】
・安定性増強装置(SAS)などを搭載し、揚力と迎え角が相互に増加しつづけ、ついにはある速度で翼を破壊してしまうダイヴァージェンス(発散)という現象や、上記エルロンリバ−サルに対する操縦特性の変化による事故防止対策とした。
爆弾倉には前後2列を全て使った「ロング」と、後半分を燃料槽とした「ショート」があり、これらは扉とその駆動装置(アクチュエーター)の交換で任意に変更可能な融通性がありました。
また、偵察ポッドを積んだRB-47や、電子戦パレットを装備したEB-47も興味深く、欺瞞紙(チャフ)を任意の妨害波長に合わせて切り出す「アルミ箔保存容器」(ホッパー)&と切り出し装置(ストリッパー)を搭載した「ブルー・クレイドル」の詳細も本書でわかります。
構造的には後退翼の荷重分布上、付根付近で14.3'oの「航空機としては」比較的厚い板が必要とされ、内側パイロンの外板からは6.4'oとして不要な重量増加を避ける構造を採用しました。
このために約15mもある素材を平坦度を維持しながら、根本から内側パイロンの6.4'o位置までいわゆるテーパー出しをしながら切削するのは高精度な技術が必要とされ、
ノースアメリカンF-86セイバー 世界の傑作機 NO. 93でも採用された「スキン・ミラー」と呼ばれる、素材から薄肉の構造物を削り出すフライス盤を使って胴体や翼の外板(スキン)の加工に用いたのが興味を引きます。
半世紀を超えて数的には今世紀になっても現役、親子2代にわたる搭乗員も存在する
ボーイングB-52ストラトフォートレス (世界の傑作機 NO. 31)に比べれば影の薄い本機ですが、ベトナム戦争で沖縄の
基地の島沖縄 国策のまちおこし――嘉手納からの報告嘉手納空軍基地から出撃したダーティな印象のあるB-52「成層圏要塞」(ストラトフォートレス)に比べて、B-47「成層圏ジェット」(ストラトジェット)は台風(タイフーン)&ハリケーンなど気象偵察型 RB-47K 型 や、気象電子偵察型 WB-47B/E 型等、強度不足で台風の目に突入出来なかったとはいえ、市民の生活安全には役立っていた側面もあり、冷戦期の美人薄命の印象もあって、軍用機ファンのみならず、民間機ファンにとっても
DC‐8 FOREVER―退役記念!JAL DC‐8の本に次ぐ、軍用機界の「空の貴婦人」の名を冠してお奨めしたいと思います。