何より衝撃を受けたのが、これが自分が生まれる前、戦時中とかの話じゃなくて、とっくにそうした問題について世間に理解が広まっていた(と個人的に誤解していた)「つい最近」の事件だということ。認識を新たにしました。観て良かったです。
「おねえ」キャラのタレントさんは大人気ですが、「彼ら」は決してそういう立ち位置に来ないのも、こうした感覚においてのことなのかもしれない。私は、個人的にはラナに共感していたので、未だにこれが「常識」なのか、というショックが、かなり大きかったですね。
作品として素晴らしいなと思ったのが、ジョン(ピーター・サースガード)の表情。彼は、女性の目からすると嫌悪感しか抱けない役割の筈、、、なのですが、ラナへの愛情の空回り、ブランドンへの友情、裏切りへの怒りが、けだるそうに細めた目の奥や、復讐し咆哮する声や表情に見事に表現されていて、男性として生きることを望んだブランドンの悲劇だけでなく、男性に生まれたジョンの悲しさまでが表現されている。モデルになった実際の彼が、どういう人物かは知りませんが、作品としてはこの配役ひとつでなにかが救われたように感じました。確かにこれは「ボーイズ」の物語なのですね。
反対に、作品として、どうか、と思ったのが、冗長になっている場面がいくつかあること。
特にブランドンとラナのラブシーンと、ジョンのブランドンへの復讐のシーンが、時間軸をばらばらにし、一度現在に戻ったのち、もう一度繰り返されるのは、たぶん扇情的なシーンをより扇情的に見せるため、でしょうけれど、この主題で、それをやると、悪趣味にしかならない。観る側としては、観るしかないのですが、これまでは純粋に応援してきたブランドンを自分が「見世物」にしているようで、なんだか、いやな罪悪感が与えられる。それで☆を一つ減らしました。
最も印象に残ったのは、空の映像の美しさです。ぜひ今度はブルーレイで「
ボーイズ・ドント・クライ [Blu-ray]」観てみたい、と思いました。
しかし、星や雲やヘッドライトが高速で行き交うあの綺麗な画は、どれだけ時代が進んでも人間の本質は変わらない、という諦観が語られているようで、悲しい美しさでもありましたが。。。