再び田西の前に現れた青山のセリフ「なんだそりゃ。」は、前巻のちはるのセリフ「なにそれ。」と対応したものでしょう。その意味するところは、おそらく物語からの離脱。
田西のボクシングへの動機付けの一部には、「青山への復讐」「ちはるを取り戻す」といった部分が少なからずあったと思いますが、その情熱は、ちはると青山の「なにそれ」、「なんだそりゃ。」によってかわされ、永遠にかなわぬものになったのだと思います。
しかし田西は、目標を失って迷うことはなく、ほかに目標を見つけて、ボクシングを続けます。田西の行動は浅はか、スジが通らない、行き当たりバッタリ、そういう見方もあるかも知れませんが、そんな中に人間のしぶとさ、根底の生命力のようなものを感じました。