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ボローニャ紀行 (文春文庫)
 
 

ボローニャ紀行 (文春文庫) [文庫]

井上 ひさし
5つ星のうち 4.4  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

「国という抽象的な存在ではなく、目に見える赤煉瓦の街、そしてそこに住む人たちのために働く、それがボローニャの精神」。文化による都市再生のモデルとして、世界に知られたイタリアの小都市ボローニャ。街を訪れた著者は、人々が力を合わせて理想を追う姿を見つめ、思索を深めていく。豊かな文明論的エセー。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

井上 ひさし
昭和9年(1934)、山形県生まれ。上智大学外国語学部フランス語科卒。浅草フランス座文芸部兼進行係などを経て、戯曲「日本人のへそ」、NHK人形劇「ひょっこりひょうたん島」などを手がける。47年「手鎖心中」で直木賞受賞、54年「しみじみ日本・乃木大将」「小林一茶」で紀伊國屋演劇賞、翌年読売文学賞戯曲賞を受賞。56年「吉里吉里人」で日本SF大賞、翌年読売文学賞小説賞を受賞。平成11年、菊池寛賞受賞。平成16年、文化功労者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 文庫: 253ページ
  • 出版社: 文藝春秋 (2010/03)
  • ISBN-10: 4167111284
  • ISBN-13: 978-4167111281
  • 発売日: 2010/03
  • 商品の寸法: 15.4 x 10.6 x 1.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.4  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)
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19 人中、19人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By ringmoo トップ500レビュアー
形式:文庫
「ボローニャ方式」と言う言葉は、何となく聞いたことがあり、都市再生のモデルと言われている事も知っていましたが、それが実際どういうことなのかは知りませんでした。
それが、この本を読むことによって氷解しました。

そして、この「ボローニャ方式」と言うものが、単に都市再生の方法論と言うことではなく、「ボローニャの精神」と言われる考え方であり、心の問題だと言う事を冒頭で理解させられました、
「国という抽象的な存在ではなく、目に見える赤煉瓦の街、そしてそこに住む人たちのために働く」ことが「ボローニャの精神」だと定義します。
そしてそれは、「「自己責任」なんて冷たいコトバは使わない。困っている人間がいたら、とりあえず手を差し出してあげる」と言うマレッラ神父の精神に根ざしているとします。
そこから、「自分はここで生まれてよかった、ここで恋をし、ここで子どもを育て、ここで死ぬことができて幸せだった。そう思えるような街をみんなで作りあげること」が、大切だとします。

こうして見てくると、「ボローニャ方式」とは単なる方法論ではないことが解ってきました。
そうではなくて、「ボローニャ精神」から自ずから出てくる自分たちの街をどうするか、という考え方なのだと言うことが解ります。
その結果として、「何百年も前の建物や街並みをそっくり保存しながら、その上、いまの生活にも役立てる方式」と言った表面的な形式が現れると言うことなのでしょう。

この根本には、「過去と現在とは一本の糸のようにつながっている。現在を懸命に生きて未来を拓くには、過去に学ぶべきだ」と言う歴史認識があるように思えます。

いずれにしても、この紀行文は、単なる「紀行文」の枠組みを超えた素晴らしい作品で、非常に訴えかけるものも多いし、私たちが住む日本でも十分に考えなければいけない問題的を多く含んだ作品になっていると思います。
このレビューは参考になりましたか?
31 人中、29人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
洗礼名を授かった神父との縁にはじまり、書物を通じてボローニャを学ぶことウン十年という著者のひたむきともいえる憧憬の念がいきいきと綴られた一冊。
豊かな学識と辛辣な批判精神をユーモアというオブラートに包み、読む者を飽きさせないところはさすが。
行政改革、地方分権、中小企業再生、教育、介護等々をものの見事に解決してきたかに見える「ボローニャ式」の本質とは何なのか、深く考えさせられた。
演劇に力を入れていることに象徴されるように、ボローニャという土地では「唯一性」「一回性」が尊重されているのだと感じた。作った人の顔の見えない「大量生産・大量消費」ではなく、手作業や職人技や地産地消といった、互いに顔の見える共同体によって育まれてきた「守りたい物」が、この街には息づいているようなのだ。
教育も娯楽も、グルメも、おしゃれも、終末期ケアも、工業機械すらも、「わたしがあなたのために」できることをするのである。共通の試験で偏差値を割り出す教育も、ミリオンセラーの流行歌も、チンするだけの中食も、一億総茶髪現象も、介護保険による規制も、ここにはないように書かれている。
実際にどうかはわからないが、ある1つのヒントがここにはある。
たぶん、これをお手本にして「ボローニャ方式マニュアル」に則って改革をしようとすれば、「ボローニャ精神」は死んでしまう。
民主主義とは、たいへん複雑で膨大な時間のかかる制度だということをまず、日本人は自覚しなければならないだろう。
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19 人中、16人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
「ボローニャ紀行」、長い間待たされた甲斐のある本でした。井上さんのボローニャへの思いが伝わって来るとともに、読者のその町への好奇心をそそらされるものでした。以前に井上さんのボローニャ紀行の企画をした映像プロデューサー、星野まりこさんの「ボローニャの大実験」を読みましたが、これも逸品、2冊会わせて読むとボローニャの町や井上さんの心の動きが重層的に見ることができ、これもおすすめです。
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