「ボローニャ方式」と言う言葉は、何となく聞いたことがあり、都市再生のモデルと言われている事も知っていましたが、それが実際どういうことなのかは知りませんでした。
それが、この本を読むことによって氷解しました。
そして、この「ボローニャ方式」と言うものが、単に都市再生の方法論と言うことではなく、「ボローニャの精神」と言われる考え方であり、心の問題だと言う事を冒頭で理解させられました、
「国という抽象的な存在ではなく、目に見える赤煉瓦の街、そしてそこに住む人たちのために働く」ことが「ボローニャの精神」だと定義します。
そしてそれは、「「自己責任」なんて冷たいコトバは使わない。困っている人間がいたら、とりあえず手を差し出してあげる」と言うマレッラ神父の精神に根ざしているとします。
そこから、「自分はここで生まれてよかった、ここで恋をし、ここで子どもを育て、ここで死ぬことができて幸せだった。そう思えるような街をみんなで作りあげること」が、大切だとします。
こうして見てくると、「ボローニャ方式」とは単なる方法論ではないことが解ってきました。
そうではなくて、「ボローニャ精神」から自ずから出てくる自分たちの街をどうするか、という考え方なのだと言うことが解ります。
その結果として、「何百年も前の建物や街並みをそっくり保存しながら、その上、いまの生活にも役立てる方式」と言った表面的な形式が現れると言うことなのでしょう。
この根本には、「過去と現在とは一本の糸のようにつながっている。現在を懸命に生きて未来を拓くには、過去に学ぶべきだ」と言う歴史認識があるように思えます。
いずれにしても、この紀行文は、単なる「紀行文」の枠組みを超えた素晴らしい作品で、非常に訴えかけるものも多いし、私たちが住む日本でも十分に考えなければいけない問題的を多く含んだ作品になっていると思います。