ライムンダ(ペネロペ・クルス)とイレネ(カルメン・マウラ)の親子が中心となりますが、隣人や友人も含め三世代が複雑に絡んだ人間模様を、巧みな構成力で描いています。
物語はサスペンスチックに始まり、途中、3年ほど前に焼死してしまったと思っていた母イレネがこの世に帰ってくるという展開となり、彼女は幽霊なのか? この映画はファンタジーなのか? とも思わせますが、どんでん返しで現実に引き戻されることに。と、まぁ、昨今の作品に見られる、脚本が凝ってるだけの人間模様に比べ、こちらは確実に血が通っているなぁという印象を強く受けました。
あちこちに仕掛けが散りばめられ、サスペンスフルでありながらコミカルでありペーソスに満ちています。また、明かされる事実はかなり生々しいのだけれど、そこから生まれる人間模様はとてもスリリングで、ユーモラスで、温かい。
出てくる女優が全員いいけど、ペネロペ・クルスはやはり美しいし、胸もすごい。(笑) タンゴの名曲“VOLVER<帰郷>”を彼女が感情を込めて歌うシーンは、歌も結構上手かったし曲の美しさとあいまって胸を打ちます。やっぱり彼女はハリウッドよりもスペインの風土に合っているなぁ。
徹底して男たちの影の薄いこの世界で、母は、誕生はもちろんのこと、すべての死をもつかさどる存在であり、そうであることに監督は安心をおぼえているかのよう。脇役にいたるまでの女優たちの力感があふれかえっています。何度も繰り返される、挨拶代わりのキスの多さに面食らいながらも、やっぱりスペインの女性(に限らず?)って強い! と思います。
監督お得意の赤を散りばめた映像センス、タイトルデザインも鮮やかにキメるあたりはさすがですね。