ボナッティーは冒険という言葉に強い信念を持っているようだ。それも人間らしい冒険だ。
冒険への布石として、想像力を燃え上がらせながら強烈なチャレンジを繰り広げていく。
その舞台となる景観は「ほとんど奇跡と言って良いほどの見事な姿を現して迎えてくれる」そこでは「正しい心と毅然とした精神こそが大いなる成果を約束してくれる」と訴える。
ボナッティーは自分はソロタイプのクライマーと言っている。ソロは一番自然と調和でき、訓練の学校であり、限界を直感的に理解する力を得て、そして己の内部へのすばらしい旅をすることができる。孤独なたびの道連れになってくれた沈黙は、神秘的であり実は自分自身に耳を傾け、自分自身と語り合い自分自身を振り返ることなのだと言っている。「そして何事につけても一人で決断を下し、その結果については当然のことながら自分の命で支払うものと教えてくれた」
私自身40才を過ぎてから始めた中年クライマーでソロで山へ行き、今のところ南アルプスで厳冬期の北岳から大門沢への縦走、又4月の富士、春の北アルプスの西鎌尾根から槍ヶ岳へ行った位のレベルで、ボナッティーの100分の1にも満たないレベルではあるが、初めにある文章を読んだところ、自分が書いたのではと思えるくらい共感を持つことができた。山は個人のレベルを超えて努力し全霊を持って挑戦する者には平等に何かを応えてくれるのかも知れない。
内容は序文に始まり20登近くの極限状態での登攀記と最後には60才を前に国際シンポジウムでのオープニング講演で締め括られています。