非常に気持ちのよい映画。4回観た。何度も観たくなるポイント。それは「ワイン愛」。登場人物のほぼ全員がワインに愛情と情熱を注いでいる。そこに惹かれる。1976年、コマネチが日本を席捲しているとき、高3の僕はまったく知る由もないが、ワイン愛好家の間で伝説となっている「パリ・テイスティング事件」があったそうだ。映画はその実話に基づいている。
物語はパリで活躍する英国人ワイン評論家のスパリュア(『ハリー・ポッター』シリーズのっていうより『ダイハード』テロ軍団のボス、アラン・リックマン)が良質のワインを求めカリフォルニア・ナパバレーを訪れることから始まる。彼はそこで脱サラして醸造家になったジム(代表作がまだ『インディペンデンス・デイ』のビル・プルマン)をはじめ最高のワインを造るために日々奮闘しているワイナリーの人々と出会う。やがてナパワインに魅了されたスパリュアはフランスと米国の代表的ワインを集めたブラインド・テイスティング大会を企画する。その顛末は観てのお楽しみ。
ジムが手を焼く道楽息子のボー(『アンストッパブル』のクリス・パイン)、天才的なテイスティング能力を持つメキシカン二世のグスタポ、美人醸造家見習いのサムなど人物が実に個性的。飛行場の搭乗手続き、町のバー、ジムがいた弁護士事務所、サムのねぐら…そこで巻き起こる出来事のすべてがケッサクでほほ笑ましい。シトロエンDSやダッジのピックアップトラック、サイドカー付きのバイクをはじめ当時の車がこれでもかと登場し旧車ファンは堪えられない。
父と子のきずなや淡いロマンスもスパイスとして効いている。とにかくチャーミングでハートウォーミング。日本でなぜ劇場未公開だったのか皆目見当がつかない秀作。ワイン造りに打ち込む人々の姿をユーモラスにさりげなく描いた三ツ星映画に、乾杯!