30回横溝正史ミステリ大賞 テレビ東京賞を受賞した作品
作者はこれがデビュー作で、wikiなどで確認すると大学院生みたいですね
作りなれた作者の構成とは違い、引っかかりを感じるのはそのせいかもしれません。
あらすじは、伊豆の旅館の借金で首が回らなくなったうだつの上がらない
中年男が、自殺をしようとしていたところに、子供の自殺しようとして
いたところに出会うところから始まります。
お互いに自殺をしないことを約束し、不思議なこの二人を中心とした
物語が展開されていきます。
子供は、天才的知能で、偽装誘拐により中年のために自殺の原因、
借金を返済しきれるようなお金を調達しようとし、中年男は、
子供が自殺しないような方策を考えるというのが大まかな流れです。
この作品、私はTV東京の再放送(しかも別番組を録画しようとして
いたので途中しか見ていなかった)で知って、文庫本にて読み返しました。
この子供が最初は天才的で心を堅く閉ざしていたのが、作品の終盤に向け
色々な人の優しさに触れ、大きく成長してゆく様、そして大胆とも緻密とも
違う、100億円偽装誘拐、入手法になかなかなものを感じました。
さすがに、処女作、文庫化されるため加筆しているみたいのですが、
中年男、子供とも少し印象が薄い感じがします。また、構成も
所々飛んでいる箇所があり、ラノベのような稚拙さも感じます。
とはいえ、単なるミステリーではなく、追い詰められた子供(少女)
の感情が暖かく解ける様、そしてなにより「シュレディンガーの猫」作戦と
名づけられた、100億円の受け取りのロジックなど、とても
読後感の良い作品でした。 お勧めです。