(音声の)言葉を滑らかに話せない吃音者(どもる人)の苦労や悩みは、吃音体験のない人たちにはなかなか理解されないものです。
本書には、幼少期から吃音に悩んだ著者の半生、言語聴覚士との対談、参加している吃音者の自助の会(「言友会」)のこと、吃って困った時の対処方法、著者自身のそれを含む国内外の吃音研究の状況、などが書かれています。
著者は、小1の時には「言葉がつっかえる」ことを自覚しその後も悩み続け、中学時代に「自分が医者になれば、この悩みが消えるのではないだろうか」と思い、過労死ならぬ「過勉強死」の初めての人になろうとまでの決意で猛勉強しました。その甲斐あって医学部に合格し念願の医師になり、耳鼻咽喉科医の仕事の傍ら、吃音研究を重ねています。本書では専門用語も分かりやすく書かれているので、吃音に悩む人には大いに参考になる本でしょう。
著者は「吃音のある人が''どもっていてもいいんだよ'≠ニ実感できる社会に挑戦していきたい」と結んでいます。
爽やかな読後感であり、吃音者には勇気と励みを与えられる書です。また、吃音に縁のない人が読んでも、感動を覚えるのではないでしょうか。
なお、著者は動詞の「どもる」は少年期から知っていましたが、熟語の「吃音」は大学2年時まで知らなかったそうです。吃音者の悩みを世にアピールするために「吃」は常用漢字に入れるべきでしょう。