双子の美奈と美穂。二人は、別々の道を歩んでいる。美奈は高校を卒業して洋裁の道へ。美穂は大学受験を控えている。「ボクの憂鬱」は、美奈の視点に立った物語。そして「彼女の思惑」は、同じ出来事を美穂の立場から捉えた作品。まあ、同じ出来事を綴るにしても、焦点化する人物が違えば、違った物語になるという実験小説みたいなものなのかな。美奈も美穂も、互いの長所を認め合って仲の良い双子だが、美奈は美穂と自分を差異化するために自分のことを「ボク」と呼んでいる。プロット自体は、特に目新しいことはないが、たとえば、同じ作品でも演出家が違えば違った作品になるということを小説で証明したとは言えるであろう。