今日、避けて通れないホームレス自立支援という困難な課題に全身全霊をかけて向き合う人々の真剣な努力が伝わってくる力作である。人間の本質の深みにまで至る思索と、課題との絶えざる格闘から生み出された活動の記録は、「私」という存在の人間性をも揺さぶらずにはおかない。「ホームレス」という存在をとかく興味本位に取り上げる通俗マスコミや、知らぬ顔を決め込んで来た行政関係者などは、本書の提示する内容の前に赤面せざるを得ないだろう。翻って、ホームレス襲撃や殺害といった悲惨な出来事に心痛める人々、日常目にするホームレスの存在に良心のうずきを感じている人々には、理解を深める最良の手引きとなるに違いない。実態調査の詳細な分析も含め、中身は値段をはるかにしのぐ。お勧めの一冊である。