精神医学系ノンフィクション。症例報告というよりは、オリヴァー・サックスの
読み物に近い。サックスが面白い方にはお勧め。
結果的にゴミ屋敷でも溜め込む理由が違うんだな。モノが記憶のインデックスに
なっていて手放すのが人生の一部を失うタイプの人。モノの有効利用できないことが
自分の損に感じられて手元から放せない人。情報を紙メディアに載せたまま山にして、しかし
それを有効利用できて成功した自分のイメージから逃れられない人。
著者のすごいところは、こういう人たちをそれでも愛していることだ。
散らかり加減の客観的指標として学生たちと、ゴミ屋敷の一部屋を再現して、
写真を撮り、いくつかの散らかりヴァージョンを作ったエピソードや
留守番電話に吹き込む情報の取捨選択が全くできないところから
相手のホーダーなところを察知できるところなど、面白い話が多い。
まず、何から話すべきか全く選択できない人は、確かに捨てられないタイプだ。
片付け指南の本ではない。身内にうんざりさせられている人の気休めにはなるかも。
長期的には本人に捨てる練習をさせた方が安上がり、という結論なのだが
それにつきあうのは至難の業だよ。赤の他人、全くの第三者じゃなきゃ無理。
本人がこの世を去るのを待っている人が大勢いるだろうね。
発行が古いが、春日武彦の「病んだ家族、散乱した室内」もゴミ屋敷な話。
公的援助者視点の本で、こちらもお勧め。