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ホワイト・ノイズ
 
 

ホワイト・ノイズ [単行本]

ドン・デリーロ , 森川 展男 , Don Delillo
5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)

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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

アメリカの大学町で、ヒトラー学科を教える大学教授は、なぜピストルを手に殺人に向かったのか。ミステリーは深まる…。日常生活の不安を描いて、崇高な芸術作品に結晶させた全米図書常受賞作。

内容(「BOOK」データベースより)

アメリカの大学町で、ヒトラー学科を教える大学教授は、なぜピストルを手に殺人にむかったか。本書は、アメリカの全知識人を震撼とさせ、同時に、大感動をまき起こした。日常生活の不安を描きながら、それを崇高な芸術作品にまで高めたと評価され、1985年度全米図書賞を受賞。これは地球の終末の地に住む、現代アメリカ作家だけが書くことのできた信じられないようなすばらしい小説である。

登録情報

  • 単行本: 360ページ
  • 出版社: 集英社 (1993/3/19)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4087731693
  • ISBN-13: 978-4087731699
  • 発売日: 1993/3/19
  • 商品の寸法: 19.8 x 14 x 2.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 281,491位 (本のベストセラーを見る)
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17 人中、14人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 現代の死, 2003/1/15
レビュー対象商品: ホワイト・ノイズ (単行本)
ーわたしたちはほかの動物が知らない、いつか死なねばならないということを知っているために、言いようのない悲しみを負っているー

主人公がヒトラー学科の教授という設定からしてそうなのだが、本書では、死の予感めいたものが終始つきまとう。それは日常にあふれている電磁波かもしれないし、新種の化学物質なのかもしれない。

が、終わりがあるということこそが人生を意義深いものにしているということが著者のメッセージなのかもしれない。アンチテーゼとして、主人公の妻は死の恐怖から解放されるという新薬開発の被験者になるが、副作用として記憶障害に悩まされる。小さな息子は三輪車で高速道路を嬉々として走り回る。これがハッピーなことなのか、読後も考えさせられる良書。

ただ、翻訳のひどさは相当なもので、パラメディック=落下傘医、というような、明らかな誤訳がかなりある(まぁ、躁的にプロットが飛ぶ小説なので深みが加わっているというみかたもできなくはないが、、、)。文章も理解しづらかったり日本語になってないところが多々あり、訳文に我慢できる人向け、ということで星1つマイナスです。

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8 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 あまりに現代的で、現代的な, 2002/8/25
レビュー対象商品: ホワイト・ノイズ (単行本)
 よく眼をこらしてみれば、私たちの身の回りには死の恐怖があふれている。ドン・デリーロがこの小説で描くように、家電製品の電磁波、殺虫剤にふくまれる化学物質、モニターに映しだされる飛行機事故などなど。現代の豊かさがもたらした多様な製品は、一歩まちがえれば、私たちから生を奪いかねない危険性をはらんでいる。

 大学教授が毒物事故によって致死性の成分を体内にとりこんでしまう。彼はまさか自分が死ぬことなどは信じられない。日常生活で起きる小さな不和を克明に描きながら、彼が自分の死と直面していく術を見いだすまでを描く。現代版「イワン・イリッチの死」とも言える。

 ピンチョンやパワーズ以上に豊富な語彙や専門的な話題がもりこまれているのに、なぜかモノトーンの味わいですんなりと最後まで読めてしまう。

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5つ星のうち 4.0 オーラは増加するのか、減少するのか, 2011/8/11
 chapter3の末尾、ジャックと同僚のマーレイが「世界で最も写真に適した納屋」を見に行く場面で、二つのことが言われる。それはa)観光客が撮る全ての写真は納屋の「オーラを補強している」。b)我々は「他の人が見ているものを見ているに過ぎない」。である。a)の部分はヴァルター・ベンヤミンの『複製技術時代の芸術』と明らかに矛盾している。だがここでベンヤミンを「正しい」とすることには躊躇がある。

 そもそもオーラ(ベンヤミンの「アウラ」)とは何か。ベンヤミンは、「アウラの定義は、どんなに近距離にあっても近づくことのできないユニークな現象」だとし、アウラの消滅は、「現今の社会生活において大衆の役割が増大していることときりはなしえない二つの事情に基づいて」おり、それは大衆の、事物を近づけたいとする要求と、複製(芸術)を受けいれる傾向、によるとする。

 複製芸術に対照される本物の芸術は、ベンヤミンによれば、「一回限りのもの」、「『いま』『ここに』しかないという性格」のものである。この「一回限りのもの」は「ほんもの」と言い換えることが出来よう。さらに重要なのは、それが「実質的な古さ」によって担保されているということである。ここでの「古さ」とは物理的な時間量を指し、リルケやハイデガーのいう「芸術的時間」とは別物のようである。

 「アウラ」は先に述べたように極めてつかみにくい概念であり、「古さ」は、作品が作られてから現在までの、人々の鑑賞に堪えてきた時間、と読むならば、写真に撮られることで、突然本物の持つオーラが消滅してしまうとする言質は、証明不可能な個人的な感性を述べているに過ぎないと言える。写真に撮られることでオーラは補強されているとも言っても、なんら不都合は生じないのである。

 確かに「大衆」は事物を近づけたいとする要求を持っている。複製技術自身もベンヤミンの時代には想像できないほど発展している。だが、大衆は複製で満足する筈というベンヤミンの見解は誤りだ。ここには鼻持ちならない選民意識がある。より精巧な複製を見れば見るほど、本物に近づきたいという願いをより強くするのはエリートも大衆も変わりない。「本物」のオーラは消えるどころかますます増加しているのだ。ベンヤミンのいう「世界史的変革」によって、今や大衆も現地に飛んで「一回限りのもの」を鑑賞することが出来るし、逆に本物の方を移動させて、「大衆の面前に展示しようとするこころみ」もますます盛んになっているのである。

 問題はこの先にある。b)の部分である。同章では、我々は「オーラの外には出られない。今や我々がオーラの一部なんだ」、とマーレイに言わせる。我々は「本物」を直視しているつもりだが、「他の人が見ているものを見ているに過ぎない」、と言うのである。我々は時間が蓄積した巨大なオーラから自由ではない。自由でないどころか、オーラに囲まれていなかった時代の「本物」を想像することも出来ない、というのである。これを大衆の「本物」を見る眼の欠陥、と皮肉に受け取るには、余りにも大きな芸術と時代の関係を語っているのである。ベンヤミンの曖昧なオーラの定義からは、我々はこれについて信ずるに足りる確証を持ちえないが、否定するだけの確証もまた持ちえない。結局言ったもの勝ちなのである。
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