ホルモーをめぐる六話のオムニバスである。第一話の小ホルモーで、その内容を描写しているので、本作だけでも問題はない。といっても、前作を読んでおくと、何倍も楽しめる。
「べろぺろばあ」店長の安倍氏が京大生だったころのことや懐中時計の由来、芦屋の三角関係や楠木が凡ちゃん頭に別れを告げるに至った胸キュンエピソードなどが語られる。高村のチョンマゲまで、一発ギャグではなく400年越しの恋に昇華されてしまうのだあ!
「鴨川…」が、恋愛を調味料に使ったギャグ小説だったのに対し、本作はホルモーという大仕掛けのギャグをスパイスにした恋愛小説である。
それにしても万城目さん、男の恋を描くときはギャグに走るのに、「同志社大学黄竜陣」といい「長持の恋」といい、女性を視点人物にして恋心を描くと、しっとり哀感にじむ格調高い表現になるのはなぜ?おっと「もっちゃん」があったか。