1987年に録音されたデュトワの『惑星』に,かなり不釣り合いなエルガーの『威風堂々』をカップリングした本盤は,デッカ再発盤。少しだけだが,安くはなった。
もはや多言を要しない中身は,1977年に始まって2002年まで続いた,デュトワ~モントリオール響間の長い蜜月関係においても,屈指の名録音。エジソン賞,アカデミー・ディスク大賞を獲りまくったセンセーションは些かも伊達ではない。相変わらずテンポを大きく落とす緩楽章の「金星」や「土星」,「海王星」はいかにもデュトワ。少し表現過多かな~とお感じになる向きもあろうが,この盤に限っては,落ちた分を埋めるだけのソノリティの豊かさは充分。デュトワもさることながら,やはりこの盤最大の美点は,従来の銘盤とは比較にならないほど解像度の高い集音,そして,高品位録音にあってもムラを感じさせない,抜群にきめ細やかなモントリオール響の演奏技量だろう。
弦だけでなく金管のすみずみに至るまで実に清明。水彩画のように濁りなく,ハイビジョンの如く色彩感豊かで,なおかつ緻密に鳴っている。心の底からとろけそうな美音。ほとんど奇蹟。解釈云々を度外視し,演奏と録音そのものの出来だけを問題にするなら,これを凌ぐ演奏を録るのは,もう不可能なのでは。・・と,あれこれ誉めるいっぽう,エルガーについては何も書かずに失礼。こちらも大変いい演奏と思う。しかし,この緻密極まりないホルストを前にしたら,おねショルティなんかオマケ!いやホント。