“英雄列伝”を読む感じで、“ホモセクシャル列伝”を読んでいるようなノリの本。
遥か古代ギリシアから、現代にいたるまで、ホモセクシャルと目されたあらゆる有名人が、次々と列挙されていきます。
英雄アキレウス、アレクサンドロス大王、カエサル、ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ…。
誰もが一度は耳にしたことのある超有名人が、ことごとくホモセクシャルだったとは、驚くやら呆れるやら。(笑)
おもしろいのは、古代ではホモセクシャルが、当然のこととして受け入れられていたことです。それが宗教や政治的配慮から、迫害の対象となり、中世ではホモセクシャルであることが罪とされ、虐殺に近い処刑まで行われていたというのは、衝撃的でした。
ただ、残念なことに、この本では、その辺りのことについて、あまり深くまで掘り下げて書かれてはいません。ホモセクシャルが世界史で、どういう扱われ方をしていったのか、だいたいの流れをつかむことはできますが、その原因までこの本から読み取るのは難しいです。
“英雄列伝”を読む感じで、“ホモセクシャル列伝”を読むなら、おもしろい読み物だとは思います。
ですが、歴史の“何故”の部分にこだわり、その原因を究明することに魅力を感じる人にとっては、物足りなさを感じることでしょう。
あと、読んでいて困るのは、アレクサンドロス大王やダ・ヴィンチのように教科書級の超有名人だけでなく、英国史やアメリカ史に暗い読者にとっては、「誰これ?」という人が、続々と登場することです。
筆者にとっては当たり前の有名人でも、こっちにとっては知らない人達ばかりで、しかも同時代にいっせいに出てきて、あれこれ動き回るものだから、読んでいるうちに名前がごっちゃになって、誰がどの人かわからなくなることが多々あります。
研究書ではなく一般向けの本なのだから、もう少し歴史に詳しくない人にも読みやすくできていれば良かったです。