荻上直子監督の「かもめ食堂」や「めがね」になんとなく似ていますが、ドラマ性をさらに抑えている感じ。スチルカメラ的な映像(撮影:市橋織江)は美しく、このオフビートなテンポに合っています。
おばあちゃんと孫ほどの年齢差なんだけれど、ビー(倍賞千恵子)はレオ(岡田将生)のことが好き。口には出さないけれど、気持ちが行動に染み出てる。(笑) 例えば、レオに見てもらいたくて可愛いワンピースを買うんだけど、気付いて欲しい彼女はちょっと大袈裟にスカートの裾を持ってヒラヒラさせてみたりする。このビーの可愛さ!! 演じる倍賞智恵子の旨さ!! それでも気付かないレオ...。(笑)
ビーを筆頭に、多くの愛すべき人たちの住む村ホノカア。
いつも寝てばかりいるポップコーン売りのジェームス。お腹ブルブルマシーンをやりながら、ポテチとかひたすら食べ続ける映画館の女主人エデリ(松坂慶子)。
87歳で『現役』の、日本のエロ本しか受け付けないコイチ(喜味こいし)さんが象徴するおおらかさと放置感、過疎と高齢化。懐かしさとどこかちょっぴりの寂しさ...。
愛すべき人達に加えて、印象に残る小道具や小ネタがいっぱいなのも楽しい。割り箸と輪ゴムで作った鉄砲。二人を繋ぐ糸電話。ブルーベリー柄の下着。ビーの作るご飯。映画館で売ってるマラサバ、等々。
全体のキーワードとして「ムーンボウ(月にかかる虹)」がありましたが、ムーンボウを見たくてホノカアにきたレオ。でも、簡単には見られない。それこそ奇跡でも起きない限り...。だけど、「奇跡は起きるから奇跡なんだよ。」なんてセリフがあったり、「年をとったからってやっちゃいけないことなんか、ないんだぜ」と人生を教えるように語るコイチさんの言葉がこころに沁みます。