都心の一流ホテルを舞台とした人間ドラマの秀作として、作者の没後も続く長寿作品となった本作だが、この第1巻は、その後のホームドラマ的なハートウォーミングなテイストとは異質の、ダークな展開。後味の悪い挿話も多い。
主要登場人物たるホテルのスタッフのキャラクターも模索からはじまり、主人公格の東堂マネージャーは第6話で初めて登場するが、やはり陰りのあるキャラクター設定だ。
人間の心理の暗部に容赦なくメスを入れるような筆致は。手塚治虫の大人向け作品などにも通じるが、あそこまで醒めきって突き放した感覚ではなく、かといって「人間交差点」ほど感動ヒューマンドラマとして作り上げてもいない。
この路線での挿話ももっと読んでみたかった気もするが、ここでの「大都会の光と影」というようなテーマには1970年代的な感覚とも言え、その後の方向転換は時代の要請だったのかもしれない。