映画『ホテル・ルワンダ』の主人公ポール・ルセサバギナ自らが、ルワンダ大虐殺事件を回顧、総括している。
ノンフィクションとしては本人が筆を執っていること自体が貴重だ。加えて、ポール・ルセサバギナがとても言葉を大切にしているため、本書のメッセージは繊細であるが、知的であり、そしてとても重たい。この本を読む前は、恥ずかしながらルワンダについてほとんど無知であり、虐殺事件についても理解が乏しかったのだが、彼の文章は、何故、こんなことが起きたかを冷静に分析し、その時、ルワンダ人が何を考えていたのかを克明に伝えてくれる。
なにしろ、冒頭で虐殺の一因は言葉の使い方を誤ったことであり、一方で人々の命を救ったのも言葉だったと言い切っているのだ。言葉は非常に大切だ。一番最後の章で虐殺事件が総括されているが、言葉を大切にする人が、推敲に推敲を重ねた言葉は非常に重たい。