信用金庫をはじめとしたコミュニティバンクと地方銀行の同質化が議論される中、コミュニティバンクにおける差別化戦略の一つになり得るのではないか。
「『喜ばれることに喜びを』をモットーに、あくまでもお客の視点から考える。」、「お客に喜ばれることを第一に考える、そのために非効率になることも厭わない。その一方で、お客に見えない部分は、効率化を徹底する。」
巣鴨信用金庫を「金融サービス業」と位置づけ、ホスピタリティを理念とした同金庫の取り組みは、他のコミュニティバンクにとっても参考になることが多いと思う。
コミュニティバンクの強みは、“Face To Face”という信用金庫のキャッチフレーズにもあるように、「顧客接点の多さ」にあり、これをどのように活かしていくかが差別化につながると思う。同金庫の取り組みは、”株式会社銀行“には、真似のできないコミュニティバンクならではの戦略なのではないか。
また、注目すべきは、同金庫が「喜ばれることに喜びを」という視点から活動してきたことが、実は金融業界におけるマーケティングの先駆者になっていたこと。顧客満足(CS)を標榜する金融機関は多いものの、目先の収益や既成概念、保守的な企業文化に縛られ、本当の意味で「顧客ありき」の経営をしているとは言い難い。同じ業界に身を置く者として、事実上、規模や利益ありきとなっているコミュニティバンクも少なくない。すなわち、「いかにして顧客に選んでもらうか」というより、「いかに規模を大きくするか」、「いかに顧客を獲得するか」というばかりが優先されており、明確な差別化を打ち出せないまま、疲弊している現場の従業員は少なくない。
お客様から「(他と比較して)お宅の信金・信組と取引すると自分にどのようなメリットがあるのか」と聞かれたとき、どのように説明できるか。それは自信をもって言えることなのか、自身がお客の立場でも同じ選択をするのかということを、一度立ち止まって知恵を出し合ってみることも必要ではないか。
いまだに多くのコミュニティバンクは、その強みを「地縁・人縁が強み」と謳っているところは少なくないが、これはあくまで自分たちの営業上の強みに過ぎず、顧客視点での強みになっているとは言えない、というか納得のいく説明を受けたことがない。
ただ、いつも思ってしまうことだが、こうした改革や変革を行うのは、いつも外部の視点を持った経営者(同金庫の田村理事長は、ホテル勤務・レストラン経営の経歴を持つ異業種からの経営者)であり、生え抜きの経営者では無理かなと思ってしまう。