ホストの世界の常識は、世間一般の常識とはまるで別物である。「君は特別な存在だ」とか「愛している」といった言葉はあいさつ代わりに使われる。それを知らずに真に受けて、ホストに熱を上げる客も少なからずいるらしいが、ホストにとってはあくまで営業の一環。2人の間の温度差は縮まるはずもなく、幸福な結末が訪れることはまずないという。
昼間は大きな会社の社長、夜はゲイバーのママという男や店に足しげく通うために風俗業界に身を投じるOL、1億数千万円の借金を客に肩代わりさせ、あげくの果てに刺されてしまうがまったく懲りないホスト(しかも同じような傷が体に6、7個はあるという)など、興味深い人物が登場し驚くような行動をとる。だが彼ら彼女らは「自分らしく」生きているだけで、しかもホストの世界のルールに照らし合わせば至極まっとうなのである。
だが本書が単なる「業界暴露本」に終わっていないのは、著者のきまじめさや迷いが随所に読み取れるからだろう。本書には父親との確執や親しかった指名客の自殺、公務員から転身し、ホストという職業を選択した経緯が包み隠すことなくつづられている。ホストの人生を選び取り、一瞬一瞬を悩みながら懸命に生きてきた青年の手記に共感を覚えずにはいられない。(中村 真)
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8 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
文章・内容ともに最高傑作,
By カスタマー
レビュー対象商品: ホストの世界 -真夜中への招待状- (単行本)
まずは優れた文章力に脱帽である。平明にして奥が深い。常識を逸脱した特異な世界や体験を綴った本には、文章力が内容の面白さに伴わないものも多く、読み手としては残念な思いをした事も多々ある。しかし『ホストの世界』に関しては、文章・内容ともに文句なしの傑作で、非常な才能を感じた。一話読み切りの構成も読みやすく、よくできている。感心すべきは、異形な夜の世界を単に描いただけに留まらず、生きていく上で我々は互いにどの様なコミュニケーションをはかっていけばよいのかを自然に示している点にある。説得力と洞察力に満ち、実に興味深かった。続刊を希望する。
1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
興味本位で読んでみたけれど,
By 2日に一冊は本を読むぞ・・・ (東京都) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: ホストの世界 -真夜中への招待状- (単行本)
現役ホストの立場の著者が書いたということで、興味をそそられて購入。こういっては失礼だが、業界のネタバレ・裏話本程度の期待でしたが、 著者の文章力に魅了されて一気に読んでしまいました。 日々、何を考え、何を感じながら水商売の世界で生きているのか。 どうして水商売の世界に入ったのか。 そんなことも、とても魅力的な文体で書かれています。 いつも決まったジャンルの本ばかりでなく、幅広いジャンルの本を読もうと 思っていた矢先に、思わぬ拾いものでした。
1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 2.0
同じ内容の文庫版がある,
By
レビュー対象商品: ホストの世界 -真夜中への招待状- (単行本)
内容はホストの営業やら客とのやりとり等、非日常的な内容がたくさん書かれていました。そこには普通に生活していたら絶対にお目にかかれないような内容であったり・・・ また「出会いと選択」という章ではこのホストさんの人生哲学見たいなものが興味深く書かれているので、 普通のホストの成功書とは違った面白さがあるはずです。 個人的に内容は満足の☆4なのですが、同じ本の文庫版(550円)が出ているので、 こちらを新しく買うよりは小さく便利な文庫版をお勧めします。
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