マンガまたはテレビドラマのノベライズ作品かと軽んじられそうなタイトルのつけかたで損をしている。これは、現役弁護士でもあるマンガ原作者で乱歩賞作家の中嶋博行による講談社文庫の書き下ろし小説だ。
ひまつぶしのつもりで期待せずに手にしたところ、一気呵成に読んでしまった。おもしろい。正味200ページほどだが、よくできた法廷ミステリの中篇小説である。軽快なテンポ。無駄な遊びがない。それでいて知って得する専門分野の情報が得られるおまけつき。
些細な発端から一転二転して手に汗握らせる事件の展開は、往年のE・S・ガードナーの〈弁護士ペリー・メイスン〉シリーズの佳作に劣らないのではないか。個性的な登場人物たちのキャラクターも立っている。いささかステロタイプとはいえ達者な筆致。
先般にテレビで放映された上戸彩主演の連続ドラマ版よりも、私にはこちらのほうがおもしろかった。ちなみに、本書の主人公であるホカベン(新米弁護士)は、堂本孝という青年だ。
劇画調だから小説としての深い味わいには欠けるけれど、なにかと気ぜわしい現代のエンターテインメントのひとつのありかたとして物語を短い枚数で鮮やかにまとめた手腕を評価したい。驚愕の結末はネタバレになるから、ここでは触れないことにしよう。