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14 人中、12人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
少し奇抜な切り口の、暖かい物語集,
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レビュー対象商品: ページをめくれば (奇想コレクション) (単行本)
11篇の短編集。それぞれの物語は、着想が少々奇抜だが、雰囲気は大変温かい。 ロシアの有人人工衛星内で事故が発生し、小学校で授業を受けていた少年が、それを察知して、救助を試みる物語や、 過去が見える眼を持つ女性が、周囲から幻覚だと言われながらも、信念のある行動をしたりする物語などを収録。 SF全般では、宇宙での闘争などを描いたハードなものから、我々の現実の生活に身近なソフトなものまであるが、 この物語集に収められているものの中には、ハードで、かつソフトな、不思議な雰囲気のものが目立つ。 つまり、あまり類を見ないタイプの作品が中心で、人間的暖かさに満ちているのが特徴だ。 著者は1983年に既に死去されており、もう新作の登場は無い。 そういう意味でも、じっくりと味わいたいが、それを助ける翻訳も見事だ。 本書は約360ページのソフトカバー本で、手にしっくりと馴染む。 何度も読み返したくなる、珠玉のファンタジー集だ。
6 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
無邪気で純真な子供時代に帰れるハートウォーミングな短篇集。,
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レビュー対象商品: ページをめくれば (奇想コレクション) (単行本)
1950年代に活躍したアメリカの女流SF作家ヘンダースンの久々に出版された日本オリジナル中短編集です。本書に収録された11編を読んで感じるのは、ハッピー・エンドで終わる物語であれ苦い結末を迎えるお話であっても、優しくて暖かい女性の視点に貫かれているという事です。私のお気に入りのお話を幾つか紹介します。『いちばん近い学校』:異星人の子供ヴァニーが田舎町の小学校に転校してくる。1360年生まれの599歳、人間でいえば5歳ぐらいで紫色の体をふわふわ膨らませる。少女イングリッドは彼女と親しくなり一緒に踊る。子供の素直さが胸に迫るラストが感動的です。『先生、知ってる?』:少女は担任の女教師に家庭での父母の夫婦喧嘩を毎日のように話します。やがて純真な少女を裏切って厳しい現実が襲い掛かります。『小委員会』:異星人リンジェニ人が地球に降り立ち、男達が連日交渉の協議をするが、互いに相手を信用出来ないで警戒しすぎて全く進展しない。ある日子供が彼らとの間に設けられた壁の下を潜り抜けて向こう側へ入り、異星人の子供と仲良しになる。やがて母親同士も言葉の違いを乗り越えて打ち解けるようになって・・・・。戦争に対する女性の平和への信念が実を結びます。『グランダー』:妻への異常な嫉妬に悩む夫の所為で夫婦は危機を迎えます。旅先で老人が夫に、大魚グランダーの体を3度撫ぜれば嫉妬心は消えると教えてくれます。人間の愛情を信頼させてくれる一編です。『ページをめくれば』:小さな頃魔法を使ってお伽噺を信じさせてくれた先生はいつの間にか居なくなり、久し振りに再会した仲間達の中で叫んだ、味気ない現実に捕われないでページをめくって輝かしい結末を信じよう!という呼び掛けは、相手にされず浮いてしまう・・・・。本書は幼かった頃の無邪気な純真さを思い出させてくれる暖かい感動に満ちた好短篇集です。
4 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
純粋な喜びに溢れた魔法,
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レビュー対象商品: ページをめくれば (奇想コレクション) (単行本)
ゼナ・ヘンダースンは寡作な作家です。1951年、「おいで、ワゴン!」でデビューしてから83年に65歳でなくなるまでに54編の中短編を残しました。 なかでは「ピープルシリーズ」と呼ばれた作品が飛びぬけて評価されています。 日本では「果てしない旅路」「血は異ならず」の2冊が翻訳されました。 さて、この「ページをめくれば」は、ピープルシリーズばかり取り上げられていたヘンダースンのSF作家としての側面を 浮かび上がらせてくれる秀作短編集です。 全11編のなかには1作だけ「ピープル」の続編が入っていますが、前出の2冊の選にもれた少し毛色の変った作品とい えるでしょう。逆にそういった作品だったからこそ、この短編に載せられても違和感なく溶け込んでいるのが 面白いところかもしれません。 SFのファーストコンタクトもの、ホラー風のもの、過去を視てしまう特殊な時間移動もの。今まで知ることの出来なかった ヘンダースンのバラエティに富んだ魅力を味わえました。 ほとんど全ての作品に少年や少女が取り上げられ、彼らの不思議な能力、不思議な幻想世界が描かれます。 思春期の透き通った感性や不安。それが、大人の教師や親の視点からも複層的に語られます。 大人が忘れてしまっている驚異、恐怖そして純粋な信じる心。 ヘンダースンの筆が書き上げる世界は、リアリティあるアメリカの田舎の風景です。そして、彼女が実際に経験した教師 という立場から見た子供たちの様子もまた、深い観察眼と優しさによって描かれています。 しかし、しっかりと描かれた田舎の町、素朴な家庭の風景が一つの超常的な出来事によって不思議な驚きに満ちた、 活き活きとした世界にひっくり返されるのです。 これが、ヘンダースンの魅力であり、人々を捉えてしまう力なのでしょう。 特に好きな短編は、無邪気な愛らしい異性人とヒトの子供の交流を描いた「小委員会」と、表題作「ページをめくれば」です。 両作品ともにヘンダースンの描く、「子供たち、不思議な力、純粋な喜びに溢れた魔法」に満ちています。 そして、「先生、知ってる?」はヘンダースンの教師だったころの苦く悲しい思い出が昇華したようなお話です。 児童の虐待、知的遅れのある子供、その子の口から語られる悲惨な家庭の様子。 教師の感じる無力さ、痛いような気持ち、もどかしさが切ないラストに繋がっていきます。 長らく埋もれていた作家の作品がこうして「奇想コレクション」というシリーズで読めることは、ファンとしては一つの事件でした。 これを機会に絶版の「血は異ならず」も復刊して欲しいものですね。
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