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ある議員が殺害される。
「やつが死んで、民営化賛成論者が数人パトロンを失う。
やつは、そいつらからもう前金を取ってたんだぜ。
その上、自分の身の安全を確保して長生きできるようにって、
何やら文書を抱えこんでてね。国会議員連中に関する文書らしい。
上のほうにいる連中も大変だよな。戦争してるようなもんだから」
旧KGBと旧ノーメンクラツーラと新旧マフィアによる支配体制。
筆者は語る。ペンギンはいつも集団で行動する動物で、
一羽だけコロニーから出すと、
そいつはどうしたらいいか分からなくなり、途方にくれてしまう。
ソ連時代を生きた人間にそっくりだと。
ペンギンを仲間のいる南極に戻してやろうとするが、
叶わぬ夢だった。
現代のウクライナからは『出口なし』という絶望の表現だ。
ソ連時代に戻りたいとは決して思わない。
しかしソ連時代は、体制に反逆しない限り
弱者は最低限の生活は保障されていた。
まるで動物園のペンギンのミーシャのように。
ミーシャは動物園の檻からは自由になった。
しかしその「自由」な社会では生きていけなかった。
ウクライナのオレンジ革命
米NGOズナーユや米民主主義基金NEDによる『民主主義革命の輸出』
ウクライナの政権エリート内部での権力争いという側面と、
腐敗したクチマ政権に対する体制変革の下からの動きという
政治対立の構図であったものを、西か東かという外交的な選択の構図に
変えてしまった。
民主化支援は内政撹乱工作と紙一重だ。
超大国の権益が弱い国家の民主化プロセスを翻弄する。
ミステリーめいたあらすじではあるが、実際は不条理劇であり、明確な結論がないまま物語は終結を迎える。雰囲気を楽しむ小説なのだろう。
その雰囲気には、この作品の作家をもう少し読んでみたいと思わせる不思議な魅力がある。
あとがきでも触れられているか、この物語の不条理感は、どこか村上春樹のそれを思わせる。そのせいか、もしかしたら、原文はもっとウイットに富んだしゃれた文章だったのではないかと想像するのだが、どうなのだろうか?
評価のうち星一つ分は素敵な装丁に捧げる。
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