文句なく美しく夢のあるイラストで、とても奇麗です。一つ一つの物語も簡単に読み聞かせられる短さで、無理のない文章だと思います。しかしあえて厳しく評価した理由は2点あります。(これは絵本(絵+文章)なので、絵が素晴らしいという理由のみで、高評価をつけることに抵抗がありました。)
まず第一に、低年齢の読者層に合わせているからか、お話の面白い部分が多く削られてしまっています。読み聞かせていても、読み手をわくわくさせるような演出や言葉使いに乏しいと感じました。豪華な絵に助けられていますが、文章だけなら、つまらない本のように思います。例えば、シンデレラは、畑からカボチャをとってくるよう仙女に言われますが、はつかねずみやトカゲを持ってくるようにという部分はなく、いつの間にかそこにいて、仙女が(別に呪文を唱えたりするわけでもなく)杖でさわるとウマや御者に変わるという具合です(演出不足)。また『しらゆきひめ』は、毒をぬった櫛や腰紐(?)のエピソードは完全に削られているので、毒リンゴのみであっという間に死んでいまいます。前2回は生き返ったのに、3度めはだめだということでより悲壮感が漂うし、お妃の恐ろしさも伝わるのに、それはありません。
第二に、絵はとても奇麗なのですが、全てが奇麗すぎるのが残念です。悪役があまり怖くありません。また『しらゆきひめ』の髪が茶色なのは、原作に忠実でないので、残念でした。本当は、黒檀のように美しい黒い髪をしている美少女だったはずです(母親の前王妃が、雪の降る窓辺で縫い物をしているとき、誤って指を針でさし、その深紅の血が白い雪を染めるのをみて、「こんなに美しい女の子がいたら・・・」と願い場面も削られているので、原作をしらなければ違和感は無いかもしれません)。
星三つはちょっと厳しすぎるかもしれません。完璧を求めているというか・・・。殆どの方は星を5つつけると思いますし、それも納得できます。