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ペルシャの幻術師 (文春文庫)
 
 

ペルシャの幻術師 (文春文庫) [文庫]

司馬 遼太郎
5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

十三世紀、東南アジアを席捲する蒙古の若き将軍の命を狙うペルシャの幻術師の戦いの行方は……直木賞受賞前後の異色の初期短篇集

内容(「BOOK」データベースより)

十三世紀、ユーラシア大陸を席捲したモンゴル軍が占領したペルシャ高原のとある街。モンゴルの将軍とその命を狙うペルシャ人との暗闘を描いた「ペルシャの幻術師」(昭和三十一年、第八回講談倶楽部賞受賞)は司馬氏の幻のデビュー作で、文庫初登場である。同じく文庫初収録の「兜率天の巡礼」等、全八篇の短篇集。

登録情報

  • 文庫: 368ページ
  • 出版社: 文藝春秋 (2001/02)
  • ISBN-10: 4167105926
  • ISBN-13: 978-4167105921
  • 発売日: 2001/02
  • 商品の寸法: 15.2 x 10.8 x 2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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13 人中、11人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 内田裕介 トップ500レビュアー
形式:文庫|Amazonが確認した購入
司馬32歳から37歳ごろの最初期の短編小説を編んだものである。

幻術は司馬作品に繰り返し表れるモチーフのひとつで特に初期の作品に多い。本書も8作中6作は幻術や呪術をテーマにしたものだ。幻術に惑乱される主人公たちの精神内面の描写のためか、この頃の作品には純文学に近い香りがある。

筆者は「兜率天の巡礼」が気に入っている。古代ユダヤ人の日本渡来説を下敷きにしたもので、新聞記者時代の司馬が実際に遺跡を踏査して記事にした。その小説版である。ちなみに司馬の長編第3作となる「風の武士」にも同じプロットが使われた。

以下、発表年順に収録作品を紹介する。

【ペルシャの幻術師】昭和30年

 13世紀、蒙古軍のペルシャ遠征を背景に、ペルシャ人の幻術師と蒙古軍の若き王の戦いを描く。色彩や光、匂いの描写が実に官能的。

【戈壁の匈奴】昭和32年

 ジンギスカン最晩年にしてやっと西夏を征服する。その動機はひたすら「西夏の美女を抱きたい」というものであった。男の夢、執念のすさまじさを描いて印象的。

【兜率天の巡礼】昭和32年

 亡くなった妻は紀元前に日本に渡来したユダヤの末裔であった。何世紀もかけてギリシャ、中国をへて日本に渡った一族の歴史を追いつつ妻の面影を重ねていく。

【下請忍者】昭和34年

 もがいても抜け出せない貧しく虐げられた下忍の人生。

【外法仏】昭和35年

 呪術とあやかしの世界に迷い込んでしまった高僧の破滅。

【牛黄加持】昭和35年

 帝の后となった憧れの女性に安産の密教秘法を施す青年僧。息が止まるほど官能的。

【飛び加藤】昭和36年

 伝説の「超」忍者、加藤段蔵の伝。あまりにも凄まじい術ゆえに上杉謙信に疎まれ、武田信玄に暗殺される。

【果心居士の幻術】昭和36年

 こちらも伝説の「超」忍者、果心居士の伝。漂着したインド人の子で、幻術で秀吉の秘事を暴いたため殺されたという。
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1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By saroshi
形式:文庫
表題作が著者のデビュー作だと知り、気になって購入してみた。
それまで司馬さんの作品は幾つか読ませて頂いたけれど、この作品ほど感銘を受けたものはない。その作品群の完成度に、正直驚いた。
『空海の風景』を書いた時、あとがきの中で司馬さんは「私は、雑密の世界がすきであった」と語った。
デビューから5年の間に書かれたこの文庫に収められている8つの短中編は、その言葉を如実に表しているのではないだろうか。
幻術、なんていう言葉がまさにそうだが、それをおそらく司馬さんは何年もかけて本気で追及していたのだろう。
話は「ペルシャの幻術師」の舞台であるペルシャから、「果心居士の幻術」つまり日本の忍者まで飛ぶ。その間に、「兜率天の巡礼」で、古代日本とユダヤ人と古代キリスト教の関係について言及している。
インドで生まれた密の世界がチベット、モンゴルを通り、やがてネストリウスの伝える景教とともに我が国に入り、秦氏が生まれ、そこから山伏や忍者の世界につながっていくといった、このスケールの大きな作品群が偉大なる作家のスタートだったのは、同じく雑密の世界を好きな自分としては感動的だ。
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形式:文庫
私が特に感銘を受けたのは、下請忍者と果心居士である。

下請忍者は、なんとこの時代にも派遣労働という雇用形態が存在していたのか!?、と非常に驚いた。

逃げられぬ掟、抗えぬ宿命、そして、人間ゆえの性が非常に鮮明に描かれているように私は感じた。

他方、果心居士は、こういう狂人に私は非常に魅力を感じる質で、非常に興味深く楽しく読むことができた。

勿論、その他の作品も魅力的だった。学者ゆえの不器用な生き方、辺境の民ゆえの強靭さ、そして、仏に使える者に隠された人間臭さなど、新たな発見があり、興奮した。

非常に面白い作品だと思う。万人に受けるかどうかは分からないが、これが好きだという人は決して少なくないと思う。

買って損をすることはないと思う。

私はお勧めしたい!

心の闇こそ人間の核心に迫るものだと私は思う。
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